山中 健

2019 30 Aug

ロンドン五輪後にオープンした都心商業2選

 今回は五輪後開発の事例として2つの都心商業事例をお伝えしたいと思います。2017年に生まれ変わった「オールド スピタルフィールズマーケット」、2018年オープンの「コールズドロップヤード」です。

 

■「オールド スピタルフィールズマーケット」

 前回の記事でお伝えした通り、ロンドン都市部では今も開発が行われています。五輪のヘリテージの一つとしてあげられるイーストエリアの開発。それは現在も進行中です。あちらこちらで工事中、そしてどんどんピカピカなビルが建っていく様はエネルギッシュです。その一方かつてのダウンタウンの風情がなくなっていくことに寂しさも感じます。

 そのようなイーストの開発では、往時の面影を残しつつアップスケールしてリニューアルした商業施設もあります。それが、「オールド スピタルフィールズマーケット」です。ここは、300年の歴史を誇るマーケットです。掘り出しものが見つかるマーケットしてして君臨していましたが、その後観光客が押し寄せ、目利きの地元客からすると「質が落ちた」とも言われていました。

 そのマーケットをリニューアル。オープンとエンクローズドのハイブリット型SCとなっています。マーケットは、ファッションやファッショングッズ、中古レコード、フードなどの屋台が集積。インディーズデザイナーの屋台なども出店しており、宝探しのような買い物を楽しめます。そのマーケットを囲むような形式で、「シャネル」や「ラグ&ボーン」、「ユニクロ」、「ルルレモン」などの人気ブランドのショップが出店しています。ビッグネームとインディーズのハイブリットとも言えるテナント構成も参考になります。

 

 

■「コールズドロップヤード」

 そして今は、大ターミナル駅セント・パンクラス周辺のキングスクロスエリアの開発が進んでいます。最近の話題はロンドンの「コールズドロップヤード」の開発でしょう。「コールズドロップスヤード」は、セント・パンクラス駅の北側に出来た商業施設。元々鉄道で運ばれた石炭を貯蔵する倉庫で、商業施設の名前もそこから取られたのでしょう。

 煉瓦造りのオープンモールで、館内を歩くだけでその雰囲気を楽しむことができます。「ポールスミス」や「A.P.C.」、「COS」などのビッグネームが目立ちますが、インディーズブランドのインキュベーション的セレクトショップや「ウォルフ アンド バッジャー」、モードストリート系のセレクトショップ「18 モントローズ」など通常のモールでは見られないユニークなテナントも出店しています。

 「コールズドロップヤード」はまだ第一期開発完了段階。オフィスなども入居し、今後どのように変わっていくのか注目です。

 

 歴史あるマーケットをアップスケールした「オールド スピタルフィールズマーケット」、忘れられたヘリテージをリノベーションした「コールズドロップヤード」。東京でも、このように歴史やヘリテージをアップデート、アップスケールした開発が進むことを願いたいところです。

 

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