山中 健

2019 31 Aug

「京都ならでは」、「京都だからこそ」そして「京都から始める」

先日、久しぶりに京都の街をまわりました。しっかり見て回ったのは3年ぶりです。その間に京都も変わりました。インバウンドが爆発的に伸び、対応するホテルや観光商業ができており、商業の見どころも増えています。

以前の京都の商業は老舗や名店そして世界や東京のブランド進出が話題となっていました。しかし、その様相が変わっています。「京都ならでは」、「京都だからこそ」の店が生まれています。

「京都ならでは」の例をあげるとすると、京都の町並みに溶け合うような店舗デザインの店でしょう。以前から京都では景観に配慮した外観の店を出すチェーン店や京都のヘリテージに敬意を払って店をつくるデザイナーたちがいました。ただ、それらの店はどちらかというと河原町四条や烏丸あたりの繁華街に店を構える例が多く、個店での取り組みでした。

しかし、ここ数年増えているのが祇園地区。特に花見小路周辺に店を出しているようです。大丸の店外物件としてオープンした「大丸京都店祇園町家」は「エルメス」の出店で話題を呼びました。そして、「フランフラン」も新業態「マスターレシピ」を花見小路からちょっと入ったところにオープンしました。1990年代以降OL向けの軽家具で人気を博した「フランフラン」ですが、こちらの店は匠の技とデザインが光る伝統工芸品を集めた店。お茶屋のような外観、森田恭通氏が手がける内装共に「京都だからこそ」の大人な買い物体験を味わえる店です。

 

写真:今はウブロが出店「大丸京都店祇園町家」

写真:フランフランの新業態「マスターレシピ

 

「マスターレシピ」と同様、京都に一号店をオープンさせたのがストライプインターナショナルの「KOE ドーナツ」。こちらは京都のど真ん中。新京極近くの繁華街の中にオープンしています。工場併設型のドーナツショップで、世界の小売トレンドのキーワードが凝縮しており、見応えがあります。生き生きと働くフレンドリーなスタッフ、インスタ映えするドーナツや内観(フォトスペースも有り)、パッケージ、製作工程やトッピングなどを眺めながらドーナツをいただくというシズル感、紙ストローを始めとする環境保全、そして非接触型決済に対応した最新レジ。グローバル基準での最先端エクスペリエンスを提供しています。様々な取り組みを行ってきた同社ですが、これまで見てきた同社の店の中で最も印象の良かった店です。ファッションではなかなかエンゲージメントできなかったことが、フードだと多くのゲストがエンゲージメントできるということでしょう。

写真:体験型店舗のキーワードが詰まった「KOE ドーナツ

 

「グローバールを睨んで」、もしくは「自社のフィロソフィーに広く触れてもらう」ことを狙って新業態を「京都から始める」ことがこれから増えて行くように思います。

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