山中 健
ファッションウィークとエシカル
2020春夏コレクションのファッションウィーク真っ只中ですが、今シーズンはエシカルな取り組みが多く見られます。
そのアプローチは、それぞれのファッションウィークによってちょっと違うと思います。まずは、ロンドン。私がエシカルファッションという言葉を知ったのは、ロンドンのデザイナーを通じてだったと思います。ステラ・マッカトニー、ヴィヴィアン・ウエストウッド、クリストファー・レイバーンなどのビッグネームの他、若手デザイナーたちも動物愛護、環境問題、フェアトレードなどに取り組みクリーエションを発表していました。そして、日本でもエシカルファッションという言葉が広がった頃、ロンドンではもはやエシカルということはクリエーションの中で重要な要素であるとともに、前面に押し出すというものではなくなっていました。ロンドンではクリエーションとエシカルが融合しているように思います。
デザインと生産が融合したことによって、ファッションキャピタルとしての存在感を強めたミラノにおいては、素材づかいや生産背景の抜本的な改革が進んでいます。ロンドンやNY、北欧は厳しい消費者目線によってファッションによってエシカルが進んだのですが、イタリアは世界のラグジュアリーの生産地であることが大きな影響を及ぼしたのでしょう。そして、イタリアは地元意識がとても強い国。グローバルな生産ネットワークに対して異を唱えるブランドがとても多いように思います「バックトゥローカル」という切り口でエシカルが広がっているようにも思います。エシカル中国も世界のアパレルの生産地ですから、今後エシカルな生産が広がっていくことを期待したいと思います。
パリでは、ラグジュアリーとエシカルの両立をいかにするかということに悩んでおり、特にファーフリーについては賛否両論となっています。ただ、ダイバーシティや伝統技術の継承という点では進んでおり、服飾文化の最高峰の都市であることを感じさせます。
そして、東京。まだまだこれからでしょう。ただ、先シーズンあたりからクリエーションとの融合を試みる例が出てきています。来月の東京ファションウィークでどのような取り組みが現れるのか楽しみにしたいと思います
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廃墟となった工場でショーを行い、工業主義へのアンチテーゼを表現したエルメネジルドゼニア(2020春夏ミラノメンズ)
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