山中 健

2019 31 Jan

2019秋冬パリメンズ この演出に感動

ファッションショーといえば、真っ暗な中をモデルがスポットライトを浴びてランウェイを練り歩く。それが、ステレオタイプのイメージでしょう。ただ、その形式はますます多様化しています。デザインが凝った服であれば、歩くだけで価値が伝わりますが、シンプルでエンドユーザーのライフシーンに映えるようなそうではない服だと、その価値が伝わりません。

服は背景に映えてこそ。かつて、富裕客が非日常で楽しむ服ばかりだったのは昔、パリコレにも増えており、映画やドラマのワンシーンのように、演出するショーも増えています。

その代表が、「ジャックムス」。パンと一緒にインビテーションをゲストに送った同ブランド。そのプロローグ通り、会場にはパンを始めとする朝食を用意し、モデルたちがそれを楽しむシーンを見せました。

会場は、パリコレメンズのメイン会場的役割を果たすパレ・ド・トーキョー。特に会場のセットを凝ったわけではありませんが、パンやジュース、コーヒーなどを用意したテーブルを2つ用意しました。一つはゲストが楽しむテーブル。もう一つは、モデルたちがライフシーンを演じるテーブルです。

中央の階段を昇って来るところから、モデルたちは演じています。一人で昇る者、友人と喋りながら昇る者、まるで友人宅を訪れる男性たちのようです。そして全テーブルに皆がつき、食事を楽しむという演出です。「ジャックムス」の持つ、レトロでロマンチックなイメージそのもののショーでした。

アレッサンドロ・デラクワがコレクションを手がける「ロシャス」もロマンチックでした。左岸の印刷工場のようなスペースでショーを開催。古い本が散らばったテーブルにモデルが立ったり、隅に置いた椅子に座ったり、壁を背景にポージングしたりしてコレクションを披露しました。

「Ami」は、エッフェル搭を見渡すシャイヨー宮でショーを開催しました。ショーの最後にカーテンが開き、エッフェル搭をバックにフィナーレを迎える様は圧巻でした。

そして、パリで初ショーを行った「キディル」も印象深かったです。マレの路地を入ると、シャッターが下りた店先に末安デザイナーが佇んでいます。その末安デザイナーがシャッターを上げるとモデルたちが登場するという仕掛け。まさしくアイディア勝負の演出です。

 

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