山中 健

2018 13 Aug

コペンハーゲン 百貨店事情

百貨店のレベルが高い日本に慣れた目でヨーロッパの百貨店を見ると、MDや演出が残念に見えます。アングロサクソン系の英国は米国と同様にデパートのレベルが高く、またLVMHやギャラリーラファイエットなどの巨大企業が百貨店を傘下に置いているフランスもどんどんアップスケールしていますが、ベルギーもスペインも以前のイタリアも残念な感じ。今回訪れたコペンハーゲンも同様でした。

なので、現地のデパートは年配層やファミリー向けの前時代的業態と言え、人も少ない。しかし、変革の兆しが見えている店もあります。その代表が、「イルム(Illum)」でしょう。

 

1891年創業の同店。1972年までは創業家が家族経営をし、その後は同業他社やメルリリンチなど、様々経営母体が所有し、2013年にイタリアのデパート「リナシャンテ(La Rinascente)」の傘下に入ります。「リナシャンテ(La Rinascente)」といえば、タイの巨大流通グループ「セントラル(Central)」が経営母体。このグループに入ってから「リナシャンテ(La Rinascente)」はどんどん、ファッショナブルに変わってきたのですが、「イルム(Illum)」も同様の道筋を歩いているようです。

ファッションは大衆ブランドを中心にデザイナーやラグジュアリーが点在。凡庸なMDです。現段階では、飲食フロアが魅力でしょう。

飲食を最上階に集結させ「イルム ルーフトップ(Illum Roof Top)」というゾーンを開発しました。コペンハーゲンいちの観光地ニューハウンのシーフードレストラン「スカーゲン(SKAGEN)」、イタリアのピザチェーン店「ロッソポモドーロ(Rosso Pomodoro)」、スペシャリティーコーヒー「オリジナルコーヒー(ORIGINAL COFFEE)」の他、バーやベールグルレストランなど大型店が7店出店。全体内装と連動した個別内装、低い仕切りなど、シームレスな配置が魅力的です。各店、ベランダにもシートを設け、コペンハーゲンの名所である広場や市庁舎を眺めながら食事が出来ます。港沿いのニューハウンが、わさわさしたベタな観光地であるのに比べ、ここは落ち着いた雰囲気が魅力です。

今後は、地下の食品、ファッションフロアをリノベーションし、リナシャンテ流のMDを採用していく計画だそうです。その頃には、ミラノのリナシャンテのようになっているかもしれませんね。