山中 健

2019 27 Oct

デジタルとフィジカルが融合「ナイキライブ(NIKE LIVE)」のココがスゴイ

「渋谷スクランブルスクエア」の中で一番楽しみにしていたのが「ナイキライブ(NIKE LIVE)」。

「渋谷スクランブルスクエア」の「ナイキライブ(NIKE LIVE)」は、ロサンザルスに次いで2店舗目。店舗周辺のナイキメンバーからの意見や会員データを元に、よりその顧客ニーズに対応するサービスを展開し、プロダクトや体験を提供する店。圧倒的グローバルブランドのマーケットイン型業態と言えます。

ということで、内覧会で真っ先に向かいました。アプリ「NIKEアプリ・アップリテール」を使用した取り組みは唸ることばかり。その中でもスゴイと思った取り組みをご紹介したいと思います。

1.ロケーションに合わせた鮮度高い品揃え

ローカル特性に合わせたマーケット・イン型業態であることを象徴する取り組みが、個店対応MDです。東京のナイキメンバーの情報をもとにした商品構成を2週間に1回展開。鮮度高い地域密着型MDを実現していくことです。

 

2.来店しただけでもらえるギフトマシーン「NIKE アンロック ボックス」

現在多くの小売業が悩んでいるのが来店客の減少です。この課題への対応として来店客にポイント進呈などをしている店も多いと思います。やはり世界のナイキは違います。来店しただけでギフトを進呈しています。ただ、「来店しただけでギフトを貰うのは申し訳ない」と考えるのが日本の消費者。そこを自動販売機のようなもので手に入れることができるというのが素晴らしいところです。店舗のスタッフと目が合わない場所に設置していることも気遣いを感じさせます。

このマシーンでギフトを受け取るには、アプリ登録が必要です。そして、3週間に1回だけ受け取ることができます。このような取り組みができるのもアプリを介在しているからでしょう。私はこのアプリでソックスをいただきました。

 

3.取り置きサービスもスマートに

「ナイキ」のアプリでの特長がこの取り置きサービス。アプリで商品を検索すると周辺の店舗の在庫状況を確認でき、取り置きもできます。このサービスは「ナイキ」の一部で先行しており、NYミッドタウンの店では、ロッカーで受け取ることができます。「渋谷スクランブルスクエア」店では、店内に美しいボックスを設置。スタッフを介して提供されます。個人的にはロッカーの方が気に入らなかったら断りやすいと思いますが、日本らしいヒューマンサービスを付加したとのことです。

 

 

4.驚愕のサービス「ナイキフィット」

今回びっくりしたのがこの「ナイキフィット」。アメリカで先行したこのサービスを同店で体験できます。スタッフが顧客の足をスキャンし、サイズを計測。そしてその情報は、顧客のアプリに送られ、自分の足が、「ナイキ」のフットウェア各モデルではどのサイズがフィットするかをアプリ上で確認することができます。フットウェアは、モデルによってサイズが違うもの。その一つひとつを数サイズ試着するのは楽しみとも言えますが、ストレスとも言えます。このストレスを軽減し、時短で商品を選べるというのは消費者にとって大変なメリットです。ECでの買い物での便利さは言うまでもないですね。

店舗では、陳列してあるスニーカーの情報を読むとどのサイズが合うかを教えてくれます。そして、そのチェックしたモデルの情報は蓄積され、リコメンド機能に生かされるそうです。

シートの上に乗ってスタッフにリーダーで足を撮影

顧客のサイズ情報がリーダーに表示

自分のアプリに自分のサイズ情報が表示。レングス(足の縦サイズ)だけでなくウィズ(幅)、甲高のサイズ情報が記録され、最適なサイズを表示されます。

 

この「ナイキライブ」で体験して感じたのは、購買心理に沿って様々な取り組みが設計されているということ。顧客に余計なことをさせずに、必ず顧客が体験することをスマートに提案しています。世界の「ナイキ」だからこそできることとも言えますが、顧客心理に寄り添ってデジタルテクノロジーと人的サービスをミックスしている点は多くの小売業の参考になるのではないでしょうか。

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