内田 文雄

2017 09 Dec

世界一大きなスタバが上海にオープンしたワケ!

●中国でのカフェブーム

中国は元々は茶の文化だと言うことは皆さんご存知の通りです。ですが6-7年ほど前から、上海や北京などの大都市のいわゆるミレニアル世代のサラリーマン、OLを中心に、大学生、高校生に至るまで、平日の昼休みはカフェで過ごしたり、週末もカフェでくつろぐ事がお洒落で、当たり前というライフスタイルに変化しています。

スタバを中心とした外資系、ドメスティックのチェーン店等、多くのカフェ業態が中国全土で出店を加速させています。

では皆さんは中国で一体どれくらいの数のスターバックス(以下スタバ)が有るかご存知ですか?よっぽどの中国通でない限りご存知ないと思いますが。実は既に3,000店舗を超えています。私が住む上海では600店舗以上ものスタバが犇めき合っています。私が住む上海の中山公園という地域では、家から徒歩5分圏内に3店舗もあります。

中国では今でも、15時間に1店舗のペースでスタバの新店がオープンしていると聞いて、正直驚くものの、たまに行く地方都市(3線都市)の商業施設でも、しっかりと1階の良い場所に店を構えているところを見ると、この出店ペースは特に不思議でも無いというのが素直な感想。ここ3年くらいの間に出店スピードが異常に上がっていると感じます。

 

そういう中、今週12月5日に上海の中心南京西路の商業施設そばに、米コーヒーチェーン大手のスタバの高級業態「スターバックス ・リザーブ・ロースタリー(Starbucks Reserve Roastery)」(以下SRR)がオープンし、新しいもの好きの上海の人達の間で話題になっていて、wechatでは連日、誰かが写真をupさせています。

私が行った時は200人待ち、待ち時間およそ40分ほど

 

この上海SRRブランドの出店は、2014年にオープンした米国シアトル1号店に次ぐ2号店になります。店舗面積も世界で展開するチェーン内として最大規模の2,700㎡もあります。2,700㎡と言ってもピンとこないと思いますが、サッカーのピッチの半分相当のほうが分かりやすかも知れません。

 

 

では何故中国で世界最大のスタバを出店することになったのか?ですが。

報道から紐解くと...米国でのカフェラテやカプチーノが飽和状態となったことを受け、スタバが停滞気味の世界の売上高に弾みを付けるための方法を模索する中で、スタバのケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)が、最初のSSRを地元シアトルに出して3年が経ち、3,000店を超え、好調の中国(上海)に照準を合わせ、SRRを出店すると決定した。

 

5日に開かれたSRR発表会見でスタバのシュルツ会長は、「中国がスタバに対して持つ力は、米国よりもずっと大きくなっていくというのは、我々にとって明らかだ」「中国が10年以内に同社最大のマーケットになる軌道にある。中国以外のマーケットが伸び悩む中で、中国の消費者に期待を寄せている」と、コメントしています。

事実、同社は直近の四半期でかなりの業績不振に見舞われています。厳しい小売業界の状況を受け、売り上げの伸びは期待を下回る結果となった(世界全体での伸びは2%)。そうしたなか、中国での売り上げは前年同期比8%増と、同社のマーケットで最大の伸びを記録しています、スタバの未来に中国は不可欠な存在になっていることが分かります。

 

 

●上海SRRの特徴は?

SRRの業態を展開することで、スタバは今後高級なコーヒー・チェーンとしてのイメージを強化しようとしています。

2014年後半にオープンしたシアトル店の成功が、同社に高級路線の業態の可能性を示し、世界各地で新たなロースタリーを展開する青写真を与えたのではないかと思います。

では世界のスタバの中でも、最も思い切った店舗であり、将来像を表す上海SRRの特徴はどのようなものでしょうか?

「世界中から調達した最も個性的なコーヒーの焙煎と抽出を楽しめる」というコンセプトに基づき、上海のSRRでは銅製の高さ2階建、重さ40トンの巨大なキャスクを使って店内でコーヒー豆を焙煎。この目を見張るような巨大ロースターによって、スタバへの来店を単なる日常の出来事から、一つの体験へと変えようとしているのかも知れません。

お茶にも力を入れていて、グルメ志向の窒素ガスを加えて抽出する「ナイトロ・コールド・ブリュー・ティー」や、自家製フードも提供。長さ88フィート(約27メートル)の、世界中のスタバの中でも最も長い手作りのコーヒー・カウンターもあります。

スタバは2016年、イタリアのベーカリー・チェーン「プリンチ(Princi)」と提携。ロースタリーへフードを提供するとともに、世界各地にプリンチ単独の店舗を拡大する計画もあるようです。

 

●今後の世界のSRRは?

今後スタバはSRRを世界中で最大30店舗展開する計画があり、2018年にはミラノとニューヨークで、2019年には東京(中目黒 1,200㎡)とシカゴでオープンする予定だそうです。

上海SRRの顧客は、コーヒー豆がローストされるところを見たり、高品質のコーヒーを試飲したり、店舗に関連したスタバの拡張現実(AR)のデジタルアプリを使ったりすることができます。

訪問客がモバイルアプリをインストールしたスマホのカメラで店内を映すと、その場所についての解説がARで表示される。例えば巨大な焙煎キャスクやコーヒーの淹れ方の解説が表示される、というわけです。

再来年オープンする中目黒店(1200㎡)でもARアプリが楽しめるかもしれません。

今日は200人ほどの長い行列で店の中を見ることが出来なかったので、日を改めて世界最大のスタバを体感したいと思います。

 

それでは!