生地 雅之

2021 10 May

アフターコロナ2

40歳のライフスタイルメディア「SAITA」の「もうコロナ前の習慣には戻れない!多くの人が「コロナ後も続けたい」と言う新たな“3つの習慣”とは」という記事を読みました。「アフターコロナ」はコロナの状況が継続するので、マスクを洗う習慣などは消えないとの内容です。この様なアンケートを真に受ける人は中々本質を見抜けないのが一般的です。「アフターコロナ」がどう推移していくのかを予測するのは自由ですが、読み取る側の意識が低いと間違うのです。

 

コロナ後はコロナ前とほぼ同じ状況に戻ります。これも私見ですが、考え方の根拠は下記に、結果が出ればそれが答えで真摯に受け止めるべきなのです。例えばコロナ下でやむを得ず、ネットで購入にシフトした人で、届いた物がリアルで見た現物とそう変わらないと判断された人や、お買い物に時間を取られるのは嫌な人はON-LINEを継続されますが、店頭でのお買い物が好きな人は間違いなく戻ります。

 

中国におけるラグジュアリーブランドの売上復活を見ても、人間はそう簡単には変わらないのです。マスクを洗う等はマスクが不要になれば、今は義務でもその後の生活での継続などありえません。逆にラグジュアリ―ブランドのブランディングの強さも計り知れるので、早期に小売業もブランディング(グッズブランディング=PBのみでなく、ショップブランディング=暖簾)強化にも手を付けるべきでしょう。「アフターコロナ」という言葉はコロナが終息後という意味なので、継続するのならまだ上記コラムも近いのでしょうが、コロナ禍の現在がこれだから、そのまま継続するというのは大きな間違いなのです。

 

「続けたい」と実際「続けている」とは全く非なるものなのです。過去に恵比寿三越の当時の店長が恵比寿はJR東での「住みたい駅ランキング」で9位になったから、その住みたいと回答した人のニーズを把握して、MD(品揃え)を変更して、リニューアル後は、新宿や渋谷からも呼び込み、新宿や渋谷に出ていくお客様をSTOPしたいと言われていました。小職は「そこで住みたいと回答した人の中で、5年先、10年先に実際住んでいる人はほとんどいなく、もっと既存の来店客を大事にしないと売上・利益の維持は難しいですよ」と提言したものです。

 

話は飛びますが、JR東による「住みたい駅」ランキング2020年8月下旬発表の最新版(SNS総投票数2671票=筆者はここには疑問を入れてはいるものの「それは置いといて」とは?)でも5位に恵比寿は入っていますが、SNSのアンケートで得票数21票というレベルなのです。まずはSNSアンケートですが、これから住みたいと思う若年層の回答手法としては妥当でありそれは信用できるのでしょうが、得票数が1位大宮で234票、2位柏の184票、3位武蔵小杉が27票、4位蘇我25票というものです。このような得票数で解析しても信憑性はあるのでしょうか?

 

JR東がこのようなデータでマーケティングしているとするなら、将来に大きな不安が残るのは小職だけでしょうか?野村総研が3年に1度に出している1万人のデータの方がまだN数は信頼性があると思われるのです。それでも解析コメントはここも信頼できないのです。日本のデータサイエンティストのレベルの低さが浮き彫りになっているのでしょう。

 

併行して、当時の商品部の執行役員クラス(各カテゴリーの責任者達)も営業本部が描いたMDでは売上が取れないが、経営ジャッジが降りていて逆らえないので、自ら勝手に変更しようとの動きもありました。小職は図面もMDも見てはいなかったのですが、執行役員が5名程度「違う」と言われていたので、当時のTOPに再度見直し(見直して結果がそのままでも)を具申していたのです。TOPはそのような現場の声は一般的には耳には入らないので、自分の目を信じるだけなのです。

 

リアルのリニューアル投資は結果が出なく失敗しても、ほとんど修正投資が行われていなく、百貨店の地方・郊外店などは、10年以上放置されているので、一度触ると取り返しがつかないのです。再修正投資が過去出来ていた百貨店は、伊勢丹新宿店と阪急梅田本店くらいしかなく、結果、リニューアル担当者が研鑽していない(適正なリニューアル案ではない)投資だったので、経営が二重投資をしてくれないのです。当然です。新宿伊勢丹の過去の再修正投資もマスコミに依頼された評論家に紙面で酷評されたかららしいのですが、その後叩かれないように「口封じのコンサル契約」をしたようです。

 

小職はまずリニューアルしてすぐ売上がV字にはならないという前提で、リニューアルの修正をすべき(修正予算も確保)ですが、会社は上記理由で再投資をしないので取引先の協賛金を一部取引先側に保管していただく事まで現場に提案していました。上手く行けばその金額は販促協力金にして、そうしてでもリニューアル後の売上をV字UPさせて預きたいのです。勿論リニューアル担当者のBESTな研鑽が前提ですが、完璧はありえないとの前提で、お客様はリニューアル計画者のように図面を上から見ないで、横から見るのですから、基本も視点(角度)から異なるのです。(売場は高さ=低さが命なのです)

 

恵比寿に話を戻して、小職が当時のTOPに3度目の具申をした段階で、漸く動かれたのですが、窓口の方はTOPの影に小職が透けて見えていたのでしょうが、強権TOPによりやむを得ず見直しに掛ったのです。しかしTOPの退陣も時期が重なり放置されました。後任のTOPも見直しすべきなのですが見直しできる目線もないので、されない(された形跡がない)で任せたままリニューアルを迎え、今年2月末に閉店を余儀なくされました。小職の近しい取引先の会長は、リニューアル投資に5000万円(協賛金を含む)を投じ、1年での閉店に激怒していましたが、

 

要は「どうありたいか」というVISIONも重要なファクターではありますが、実態の冷静な把握が足元の売上を支えているのです。コロナ禍も同様に、今日のご飯が食べられないと明日もないのです。伊藤忠商事の岡藤CEOが言われているように、潰れなければ挑戦はできるので、まずは「潰れない事」です。

 

過去から、百貨店を含む企業は今まで文武両道(経営と現場)の両輪を1名でこなす素晴らしいTOPがいらっしゃったのですが、早い経済環境の変化に対応できない状況に陥り、二人三脚型(経営がTOPで現場に精通している番頭を)にシフトしてきていました、しかし、まだまだ不透明な経済環境が続き、二人三脚どころか三人四脚にならなければという時代に来ているように映ります。つまり、経営のプロと現場のプロの2名の番頭を従えて、TOPは時間は暇そうに見えても頭の中は必至で研鑽し尽くし、企業の方向性を間違いなく示唆できる(朝令朝改などは当たり前というのではなくNG=但し間違っているなら気が付いたままの放置もNG)で朝令朝改を可能な限り少なくするようにTOPが研鑽すべきなのです。

 

日本の企業はTOPがミドルに丸投げが多く、責任もミドルに取らせることが多いので、新規事業が育たないのです。小職が提言していました当時のTOPは「新規事業を成功させて、余剰人員をそこににシフトしてリストラはしたくない」という方針でしたが、新規事業の成功が覚束なく頓挫していたのです。もっと、TOPが研鑽し、的確な指示を出せる環境になり、責任も明確に取る経営にシフトしないといつまでも日本だけがガラパゴスでは生き延びないのです。もう経済環境においてはペリーが浦賀に来ているので、日本だけが特別というスタンスでは生き延びないのです。

 

そういった考え方からすると、最近TOPが変わった百貨店等は、新規TOPがHDGSのTOPに、事業会社には現場に精通されている方をTOPにされる事がこの苦境を乗り切る近道ではないでしょうか?勿論、HDGSのTOPも現場に精通されていらっしゃるのですが、会長席などは一掃して、両TOPでの切り盛りがいままで低迷していた企業の再生に早期に結び付くのではと思われます。

 

要は決めるまでに様々な知見(取捨選択は自らですが)を集めるべきなのです。自分の頭のみでは限界もあり、アイデアを集め、自分の頭で決めていくべきなのです。よって、方針や戦略を決めるまでの18時までは人と会い、広く知見を求めるべきだと思うのです。自分の知見で決めた方針に後でいくら素晴らしいアドバイスを貰っても、聞き入れにくいのは人間の常なのです。小職も先日知人から耳障りなお話(忠告)を頂いたのですが、その場は多少心外であったのですが、落ち着いて考えると本当に小職の事を考えて頂いているので、感謝の気持ちで一杯なのです。

上記百貨店の現TOPも儲ける事に執着されていますので全く心配していません。一気に復活する事でしょう。業界の低営業利益額・率の自社のみでもの改善(当面500億円・5%以上)までも期待はしているのですが、

 

先日このブログでも、繊研新聞の寄稿記事でも、小職が昨年3月から研鑽し、コロナ下での百貨店のビジネスモデルは、ECよりも当面外商強化で足元を固めるべきと提案し、8月頃より新外商ビジネスモデルとして首都圏を中心とする百貨店に提案し出していました。幸いにも同調頂ける百貨店と取引先に巡り合い、一丸となって提案し、経営層も足元強化に乗り出して頂き、評判もよく実践しだしているのですが、このところその不備も見つけ、綻びも走りながら修正掛け、完成型を求め続けているのです。この綻び等の課題解析と対策についてはいずれ業界紙かメディアオンライン等で表現予定ですが、

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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