生地 雅之

2020 29 Jun

異業種からのアパレル参入-2=ワークマン+-2

5月12日の「ガイヤの夜明け」で放送された表題の特集は上手に纏められていました。

 

最初のワークマン+のアパレル参入とは、どう捉えているのでしょうか?ワークマンそのものは既にアパレル(作業服=衣料品)なのです。

ワークマン∔で始めてファッション系(カジュアル)に参入してきたのです。定義付の根本から間違っているのですが、取り敢えずファッション系への参入と捉えて見ると、ファッション系としてノースフェイスやモンベルとの比較は、ブランドの育て方から異なるのです。実需アイテムに機能を付けたワークマンとファッションに機能を付けたノースフェイスとはブランディングの出自そのものから違うのです。

 

素人の声を聴く事を否定はしていませんが、それをプロの技でこなしていかないと大衆相手とは言え、お客様には響かないのです。

アウターのネーミングが「綿被りヤッケ」と素人に判りやすいのは素晴らしいのですが、ヤッケという言葉がジャケットと理解している人は高齢者中心でしょうか?ダサさは否めません。過去のユニクロの単なるビニール程度のようなアウター素材を「ネオレザー」(レザーもどき)と称するやり過ぎも問題ですが、

 

小職が前職のアパレルに入社即、某百貨店ボリューム・ブランドの生産担当であったのですが、当時の企画された商品は自分の思うそのブランド商品のイメージではなかったのです。当時アパレル業界は服やおしゃれが好きで就職してくる時期でもあり、社員そのものがファッション好きの集団の時代だったのです。現在も業界の一部のアパレルにはファッション好きが社内に存在している事は事実なのでしょうが、お客様の立ち位置で、服の基本を理解したプロとしてお客様に提案できているデザイナーが存在するのでしょうか?

自分の企画した商品が作りすぎも含め、オフプライスストアにゴミの様な扱いの処分展開方法にまで、承認せざるを得ない現実に処分は自分の関与する案件ではないと目を背けているのでしょうが、最終処分までこうして欲しいと言った作り手のプライドはどこに行ったのでしょうか?そんなものは既に期待してはいけないのでしょうが、ほとんどの経営層は既に失っているのでしょう。

 

話を戻して、当時の企画課長に社員の意見を吸い上げて商品に反映してみればとの提案をしたのですが、一蹴されました。その後、営業を経験し、5年後に生産ではなく企画に配属になり、驚いたのです。如何に企画のデザイナーがファッションを勉強し、研鑽し、お客様に価値を価格以上に認めてもらえる創意工夫の集団(当時は)だったのです。素人目線での不足を感じ、プロの技で解決に向かっていたのです。入社当時の小職の浅はかさが恥じられたのです。

そのことが03年に独立した弊社のコンセプト「お客様目線とプロの技」になっているのです。

お客様目線で店頭と商品の課題を発見し、プロの技で改善・改革を求めているのです。

 

ワークマンの放送でも言われていた機能はアウトドアで過去から適用されていた事なのですが、例えばマウンテンパーカーの風除けのストームカフス(筒袖になかにジャージーの袖が付いている)や、座ってアングリングする時に寒いから手を入れる手袋替わりの浅い胸ポケット(ポケット口カバーが逆付け=開きっぱなしにならないように)やなどはマウンテンパーカーの原点と言えるものなのです。本来は背中の腰部分(腰のドローイング紐)の下のMAPポケット(山登りルートの地図入れ)も今やコスト削減で削除されていますが、その他沢山の機能が付いているのでした。

 

TV放送でのアウターにペン差しが付けられ、結果テントを立てるためのハンマーフックに目的が変化しましたが、SNSの方のご主人の意向で、危ないからハンマーフックの付ける位置が変更されました。このことはワークマンの商品開発の方がお客様の立場でその商品を企画していない事を表明しているのです。自分で使ってみればわかる範疇なのです。勿論、TVを見ている素人の視聴者受けするための「やらせ」と思われますが、本当(もし企画マンが気付いていなかったら)なら大変です。

 

ワークマンの後に、農業向け機能的スーツの取材もありましたが、何故農業に従事する時に

スーツを着る必要があるのでしょうか?ごく少数の一人の考え方に流された放送内容であったのです。日本にはメンズファッション協会が過去に提言しましたTPO(時・場所・場合)に適した服装をという言葉を作り、広めました。洋服の源のイギリスを含め、欧州では場所・場合に合わせた服装をすることが基本であり、服が伝わった米国では洋服の歴史が浅くルールが崩れ、そこから日本に上陸した洋服文化はTPOという言葉を作らないといけない状態だったのです。

 

その後、先々週にグランフロント大阪でこのブランドのPOP-UPを見ましたが、ジャケット1万数千円から、シャツも1万円近くからであり、ほとんど洗えるポリエステルの商品なのです。ユニクロではジャケット5900円程度の商品です。

ユニクロでも高いと思われる商品であり、型紙や着心地などはイオンの3800円クラスのジャケットの方がレベルは高いのです。イオンは見せ方・売り方に課題があり、残念ながら良さは見えていませんが、

 

釣り具の「DAIWA」が原宿にアンテナショップを出したことも放送されていましたが、果たしてうまく行くのでしょうか?名前は「ディーベック・トウキョウ・エクスクルーシブ」と名付け、「DAIWA」としての表現がないのです。つまり、別ネームで一から育てようとしているのは評価されますが果たして、

ニトリが展開しているN+が最終手段でN+はニトリグループを各店舗のイーゼルで表明し出しました。このことがプラスになるとは思えませんが、我慢できなかったのでしょう。DAIWAも同様にならなければ、、価格設定も軽い折り畳み傘が12100円です。ブランディングが出来ていない中、百貨店の暖簾が無ければ通用しない価格でしょう。

ネットニュースで「完売」と記載されていましたが、何本売っての完売なのか?「売上目標がない」との事ですので、果たして実態は?

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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