生地 雅之
経営者が一歩踏み出す理由
現在の世の中で、百貨店もGMSもアパレルも含め、経営者が今までの事業が破綻しかかっているのに、中々パラダイムシフト(ビジネスモデルの変換)に踏み出せないのが実情です。
一つは見て見ないふりをして、嵐が過ぎ去るのを待っている場合、もう一つは危機を感じてはいるのに新しい道を模索しているが確信としては見いだせていない場合、このままでもある程度(自分が在籍している期間程度)は維持できると考えている場合、仕入先が自店に適した売れる商品を開発して持ってきてくれない等が存在するのです。
小職が3業界に提言している内容は、業界紙やこのブログ、弊社HOME-PAGEにも記載していますように、自らの考える案を提言しているのです。勿論、各社の意向を踏んだものではありません。この提言は業界を見て、小職が考える総論を述べているのです。
この総論にある程度賛同される企業があれば、ご一緒に考え方をその企業の歩むべき道とすり合わせし、そのGOAL(VISION)を設定しなおし、その企業の立ち位置を確認し、その企業とともにGOALに向かって邁進するのです。
まずは種々なるコンサルティングの外部知見(内部で出てこないから課題なのです)を求め、各テーマ(課題)の議論をワンテーブルで実施して頂き、一番自社の腹落ち出来る案を深堀することから始めるべきでしょう。
勿論、その議論からチョイスする場合は、自社の実力(多少の外部の力を借りてでも)で出来る事が大前提です。既存事業の再構築が最優先され、次にその周辺のビジネスから手を付けるべきなのです。既存事業の再構築もままならない企業が、最初から荒唐無稽の領地に乗り込んでは成功は覚束ないのです。既存事業及びその周辺での領域での、大きな考え方の転換が必要なのです。
例えば、過去から提言しています「百貨店のテースト軸ライフスタイル型PB開発」については、現在百貨店業界は「PB」や「買取」は禁句になっています。つまり各社PBや欧米からの買い付け商品で在庫を残し、赤字事業となっていましたので、手を出さない状況なのです。
GOAL(VISION)が正しいのですが、道程(自社のみか外部でも)が間違っていて答えが出ないので、結果(GOAL)を否定しているのです。正しい道程を見出し、再チャレンジすべきなのです。そのためには業界の総論のマーケティングではなく、自社・自店顧客マーケティングが必要不可欠なのです。
しかし、小職はやはり小売業の究極はPB開発に尽きるのです。お客様の接点(タッチポイント)を多く持っている小売業が自店のお客様のニーズ(潜在需要どころか顕在需要のみで)を把握でき、アパレルにその商品がなければ売上も利益もなくなるのです。
よって、他力でなく自力でそのニーズに合った商品を開発する仕組みを持たないでは生き残れないのは明白なのです。百貨店は過去のONWARDが開発した「消化」ビジネスに依存していたのですが、数十年はその手法で、百貨店も百貨店アパレルも安定した利益を享受していたのです。それが時代に合わなくなり、崩れだしているのです。もはやしがみ付く事が正しい道なのでしょうか?自ら現在、そして未来の環境にマッチしたビジネスモデルに変革する時期が来ているのです。
過去の商店街にあるような専門店はセレクトショップであり、それが自店お客様のニーズに合わなくなり、気の利いたセレクトショップが自社PBを開発し、自店のお客様ニーズを満足させてSPA化してきたのです。その後、香港のジョルダノのよう大掛かりな生産フレームと多店舗化により、世界的なSPAも生まれてきたのです。それを真似したのがGAP、ZARA、ユニクロ等なのです。但し、ユナイテッドアローズやシップスのような展開と、ユニクロ等とはストアコンセプトも違い(その中でもユニクロはファストファッションではないのですが)、各企業は異なる道を、
上記のような企業は、自社自ら自店顧客ニーズを把握し、具現化し、自らのリスクで高収益体質に変化してきたのです。昔の商売人はよく言ったものです。「利は元にあり」です。リスクのない処に利益はないのです。
現在のモールビジネス(デベロッパー側)は過去の百貨店の「消化」ビジネスでの恩恵を被っているのですが、これも将来はテナントが自館顧客ニーズに対応できなくなれば、同様の道を歩くだけなのです。撤退店舗の原因は?
GMSはPB開発を昔から行っていますが、マーケティングに不備があり、お客様のニーズ把握に不備があり、的確な商品開発ができていません。もう一つ機会ロスを怖がり(TOPダウンもあり)、自店販売実力以上の生産を余儀なくされ、過剰在庫が利益の足を引っ張っているのです、彼らの商品開発はモノによっては、SPAのユニクロやGU以上のモノも存在するのですが、多種雑多な商品展開により、売場でその商品の良さがお客様に響いていないのです。
もっと不要な商品を見極め作らない・出さない事により、良い商品を浮彫にすべきなのです。
SPAとは「スペシャリティストア・オブ・プライベートレーベル・アパレル」の略であり、過去に繊研新聞の婦人担当の山崎氏と伊勢丹の武藤氏が作った言葉と聞いています和製英語なのです。
アパㇾルはお客様との接点は遠いのですから、自ら接点を持つことが必要不可欠なのです。
百貨店アパレル自ら「脱百貨店」は正しいのですが、参入する業態(FBやSC)のマーケティング不足であり、価格設定ミスでマーケットに合わず弾き飛ばされたのです。
これもGOAL(VISION=脱百貨店)は正しいのですが、それに向けての手法(道筋)が間違っているのです。
小職は上記も同様に、自社のGOAL設定をご一緒に確認しながら、そのGOAL(VISION)に向けての歩き方をその企業の現在の立ち位置から模索する事を提案しているのです。
例えば、各企業は自社の方向性まで、コンサルティング会社に丸投げのケースも存在しているのです。勿論、自ら考えている企業も存在するのですが、丸投げでもチョイスすれば自ら決定している事と同義語なのです。但し、大手のコンサル企業は下請けも多く、その内容のレベルを見極める目も必要不可欠なのです。
小職が提案している上記以外に、各企業が自社課題をテーマ化し、多数のコンサルを集め議論させ、各企業は横で聞くだけでも参考になり、コンサル企業でなく個人個人として、自社の考え方に近い人や、考え方は大きく異なるが参考になる人に再度集めて、自社の考え方とすり合わせする事も手法の一つです。事業に現場に精通している人が見つかるでしょう。
現在の企業で売上不振の原因をどう見るか?他者(天候や気温、震災等)要因にするか?自者要因とし、自分で出来る事を見つけ精度を高めるようにするかで、全く異なるのです。
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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