生地 雅之

2022 25 Apr

それは本当にやって見ないと判らない戦術なのか?

最近、小売業が行き詰っている現れなのか、ビジネスモデル(儲けられるか否か?)の確認もできていないようなアイデアにランダムに手を出し、上手く行かないと公表しないで、フェイドしているのです。「発表する時は華々しく、手仕舞いはこそっと」のパターンの繰り返しなのです。先日の立川高島屋のすべてSC化に向かう事などはマーケティングの不備と認め、TOP(代表権のある取締役)の英断の発表であり素晴らしいものです。

逆にセブンイレブンのお取り寄せ用のバイクを各店に数台配置すると公表して、暫くは1~2台並んでいた時期もあるのですが、いつの間にかなくなっているのです。この仕組みは一部の情報では、ウーバーイーツ(日本では食事の宅配便がメインで海外はTAXIの配車等で大きく伸びている企業なのです)と競合の出前館(最近はTVCMも打ち、食事の配達で拡大基調に)の配達に転用されていると聞きました、それで出前館も含めWINWINになっているのなら素晴らしい事なのです。

しかし両社とも大きな営業利益額の赤字を抱え、とても儲かるビジネスモデルではありえません。このまま共倒れに向かうのは予測されます。どちらかが勝ち、寡占化しての値上げによる利益確保に向かっているのかは不明ですが、もしその方向で赤字が解消する予定ならば経営としては売上至上主義での一か八かの博打的な経営と言っても過言ではないでしょう。出前館の直近第二四半期の決算短信は売上額(前年比倍以上)と営業利益額の赤字(前年比3倍弱)がほぼ同額との結果なのです。誰が見ても死に体なのです。但し、このセブンイレブンのバイクを使っているから、赤字が増加しているのかは不明ですが、まずは黒字化が最優先されるべき企業と当然の如く思われますが、

小職が2月に業界紙に「内製化は正解か?」という意味の寄稿文を発表し、その後このブログにもアレンジしたものを掲載し、賛同コメントを頂戴したTOPもいらっしゃれば、逆に自分が社内で出来る人材を育成すると公言されたTOPもいらっしゃるのです。果たして内部育成が可能なのでしょうか?それが出来るなら過去のTOPは何をしていたのでしょうか?確かに過去のTOPが出来ない事を現在のTOPが可能に出来る事も当然あるのですが、果たして如何に?既に外部との交渉に立ち会っていなく、そのために交渉事を外部依存(丸投げ)していたのが、外部依存を止め急に前に出てやれと言われても、不可能なのです。要は人材を育成するには時間が掛かるものなのです。

https://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/ochi/fc37889e-5c6a-40ee-8f2f-c3bd2731441b

当然、事業を維持・向上させるには、
1.    既存事業の再生(改善)が最優先されます。
2.    それでも結果(営業利益額)が改善できなければ、新規事業をやらざるを得ないのです。
既存事業は精一杯やっているので、これ以上伸びない(限界)と考え、新規事業に行く事には再度見直しを
3.    そして、向かうべき新規事業とは、アイデアは現場も含め、沢山出てくるのですが、殆ど儲けられるか否かのビジネス目線による確認が出来ていないのです。
4.    これを判断出来るミドル(代表権のない取締役~部長以上)が不在(教育できていない)なのです。
5.    よって、TOPが研鑽して、A)即やるべき事、B)やる事がNGな事、C)やらないと判らない事を決断せざるを得ないのです。殆どCに入れている事に課題があり、本当にCか?の見直しが必要不可欠なのです。

要は自社・自店のマーケティング(お客様の確認)と自社・自店の販売実力の把握ができていれば問題は何もないのです。前述の高島屋のTOPは認識できており、素晴らしいものなのです。二子玉川SCが50年以上前にその時代に合わせた成功を収め、時代が変化しているのにも関わらず、日本橋SCで「ずれ」が生じ、立川から修正に手を付けてきた経緯から見ると、早い目の日本橋SCの方向変換が求められる事でしょう。立川高島屋SCや日本橋高島屋SCのズレについては、このブログでも過去から指摘していましたので、ご参照を。

https://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/ochi/8a9676e4-4bce-4f79-acdb-7337c29d0de3

https://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/ochi/5e5de823-75a1-47f1-9882-d083266ad9ee

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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