生地 雅之

2020 30 Nov

自社・自分ならできるという思い上がり

最近、他社・他者が失敗している事業に対し、自社・自分なら成功するとの事例が後を絶たない。勿論出来る場合も沢山あるのですが、如何にもできそうにもないと言った企業の参画が見るに堪えないくらい多いのです。

 

一応その業界に精通されて、勝ち組に入っている企業なら判らないでもないのですが、負け組に入っている企業と同レベルに位置している企業が手を出している事に驚きを隠せないのです。

例えば、ニトリがアパレルに参入してN+が上手く行かないのですが、理由は任せる相手が間違っているのです。業界の常識は非常識くらいの目線で、戦略を実行していないのです。今までの業界と同等レベルでは、戦っていけないのです。

過去でいえばファーストリテイリングが八百屋に参入したことも、今から見返すと思い上がりに見えるのです。しかし、さすがFRです。現在は異業種には目を向けず、アパレル・小売業界での徹底した深耕(業界の非常識を実施=すべてとは言いませんが)しかしていない身の丈経営なのです。(ワークマンのしない経営とは別)

 

業界違いでも難しいのに、同じ業界で撤退した店舗に、第三セクターからの依頼に手を出す(出店)事など、到底「愚の骨頂」と言えるのです。その手を出す余裕があるのなら、まず自社の本業を立て直して頂きたいものです。

 

同業他社と自社の違いが大きく、勝ち組なら負け組が弱っていて切り捨てた店舗の立て直しもある程度理解もできるのですが、同等レベルなら全くハードルが高いのです。その店舗の再生ができるのなら、いち早く自社の安定経営が望まれるのです。

 

苦しい時に逃げるように新規事業に向かうのは、その業界が終焉を迎え、逃げ出さないと沈没する船ならばまだ理解もできるのですが、再生のできる可能性のある既存事業を残しての新規事業参入こそ、自滅の道を辿っているのです。

 

アパレルで過日清算した大手も、スーツを生産しながら顧客ターゲットが違うからとの理由でレンタル事業に参入し、惨敗したのです。在庫のカウントもできない責任者も問題ではあったのですが、その様な方に任せないといけない状態なら新規事業に手を出すべきではないのです。

 

小売業も他社が撤退した地方店からHELPを求められ、何を理由に再生の手伝いをするのかが見えていません。撤退した他社なら再生ができなく、自社ならできるのでしょうか?行政への顔を気にする余裕もあるのでしょうか?そこでの再生案はまともなのでしょうか?そうであれば何故今まで自社で出来ていなかったのでしょうか?

その企業がここ数年撤退し続けてリストラしている状態で、他社撤退店舗を救えるなら、撤退店舗や清算会社、売却事業も含め、リストラした社員にどの面下げて言い訳するのでしょうか?自社・自分ならできるのなら、まず自社・自店を再生すべきでしょう。

 

この様な経営者のいる企業は早晩持たないでしょうから、次の準備に入るべきです。但し、現在の経営者と自分は違うと思っているのは良いのですが、冷静な第三者目線で、認識がないと同様の結果を生むのです。自社と他社がそう違わないのなら、自社・自分の思い上がりも甚だしいのです。それに気が付いて欲しいものです。

自戒の念を込めて、、

 

そのために過去から、下記3項目を唱え続けているのです。

1.「自分ならメモの勧め」

2.経営は信賞必罰の評価制度の明確化とガラス張りで、確立・運営を徹底すべきです。

3.業務はA)ブレーンワーク(知恵)、B)ネットワーク(顔)、C)フットワーク(実行力)が必要であり、

経営とは、知恵は買えば良い(買う目線も必須)、実行力は部下を使えば良い(人材育成)、残りのネットワークこそ自分でやらなければならないのです。

 

小売業としては、

1.マーケティング(お客を知る事)

何処に誰がどのくらい(属性も)いらっしゃるのか?

2.マーチャンダイジング(儲けるために)

1の顧客に対し、どのようなコンテンツが必要なのか?

5RIGHTS&2VMD

適正な商品を、適正な価格で、適正な数量、適正な時期に適正な場所にレイアウトする事。

モノづくりの垂直統合(バーティカルマーチャンダイジング)とビジュアルの水平統合(ビジュアルマーチャンダイジング)

モノづくりは中抜き(PB化)と生産チーム化(信頼関係によるコストのリスクヘッジ排除)です。

お客様は売場図面を上から見ないので、横から水平に見るしかあり得ないので、水平に見て見やすく買いやすくなっているか否か?

この「5RIGHTS+2VMD」が小売業のマーチャンダイジングの基本です。

3.プロモーション

いくら良い商品や売場を作っても、必要とされる顧客(マーケティングで見つけた自店のお客様)に伝わってこそ、感動を持った購買体験を生み出すのです。

 

要は、このような3本の矢(方針)こそ、企業の経営層、運営するミドル層、現場にてお客様に接するスタッフ層にまで徹底すべきなのです。

これこそ、弊社のコンセプトでもある「お客様目線とプロの業」なのです。

つまり、お客様は売場や商品の何が買いにくいかを教えて頂けないのです。プロはその買わずに帰られるお客様を見て、何故か買わないのかを考え、策を打つからこそ改善され、売れていくのです。プロの目線とプロの業が無ければ無理なのです。

 

また、ここ数年来、小売業では「コト提案」という言葉に踊らされ、「モノの開発力」が一部は疎かにされてきていました。

アパレル&小売業界でも、小職は一早く(約35年前から)コト提案と提言してきていますが、今振り返るとその事が大きな間違いではなかったのかと猛省(理由は別途)し、小職がいつ道を変更したのかを辿っているのです。

確かに、「コト」は重要なファンクションではありますが、ストーリー性の上で、コンセプトが明確で、最低線のコンテンツを伴っている製品をハイタッチでご紹介しないと、商品(お客様に評価され購入して頂いて初めて商品、それまでは製品なのです)に転換しないのです。

 

 

現在の企業で売上不振の原因をどう見るか?他者(天候や気温、震災等)要因にするか?自者要因とし、自分で出来る事を見つけ精度を高めるようにするかで、全く異なるのです。

上記項目以外にも多々あるとは思いますが、「あるある」と同調されても、その後自社は自分はと振り返ってみてください。果たして、、、

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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