生地 雅之

2020 07 Dec

いまさら、生産調整?

 

アパレル業界では、何十年前から「在庫過多は命取り」と言われていたのに、コロナになるまで手を付けずにここまで来たのです。「自社は他社と違う」と言った思いが、本来と違う方向に導いてしまったのです。第三者目線でいうと大して他社と差の無い商品であるにも関わらず、我が子可愛いとの過剰生産なのです。自社・自店の販売実力の把握は?

 

コロナで尻に火がついて理解したのであれば、平時になってもその考えを失って欲しくはないのです。ところが「喉元過ぎれば」となるのは明白で、現在小売業で大騒ぎしているEC化も過去から取り沙汰されていたことなのです。

 

これもコロナで急激に企業の方向性が変化したと言えるでしょう。しかし、多少は流れてもリアルが復活すれば目が元に戻るのは明白です。いやそうではないとの声も聞こえてくるのですが、人間の行動パターンはそう簡単には変化しないのです。(水は低きに流れる)

 

コロナのように、買いに行けない状態が恒常化すれば別ですが、店が遠い立地の市場は過去は不便でも仕方なかった生活から、便利なオンラインビジネスが広がってきているのですが、そうでもない地域ならそう簡単には変化しないのです。現に緊急事態宣言の解除とともに、百貨店の売上の前年比はインバウンドを除いても回復基調にあるのです。

 

特に、百貨店のEC化は、現在世界中のサイトが、「モノから・ブランドから」の検索で入るサイトであり、通常の百貨店に来られる「何か良いものがあれば」的に来られるお客様への対応できるサイトはどこにも存在していないのです。つまり、目的買いのお客様のみの対応なのです。それは先駆者が既に、

 

要は、上記のようにアパレルも「在庫削減」などは今までに気付いていた企業は多々あるのにも関わらず、何故手を付けられていなかったのでしょうか?つまり、痛みを伴わないと学習能力がないと言っても過言ではなく、百貨店のEC化も同様なのです。気が付けばやれば良いのですが、やり方にも問題が、

 

小売業、特に百貨店のお客様の購買行動は「変わらない・変われない」とすれば、何をどうすれば良いのかが見えてきます。要は既存顧客の基本的な行動パターンのブラッシュアップ(磨き上げ)こそ、これからのビジネスには不可欠な事ではないでしょうか?(「既に精一杯やっているが、」との声も聞こえてきますが、そうであれば前年比はもっと)

 

百貨店のみではないのですが、本業が行き詰ると、新規事業に目が行き、新しい顧客を取りに行くことが多いのですが、まずは本業がシュリンクしてもその縮小した中で、如何にビジネスを再構築(安定的黒字化)仕上げるか?その後の新規ならまだわかるのですが、

 

本業の先行きを見て、全く無くなる市場なら既存のすべてを捨て去り、新規に命運を懸ける事も辞さないのでしょうが、中途半端に半分乗り換える事などは、新規事業(ソニーのウオークマンのように、全く無い市場を作りあげる気概ならともかく)に手を出す事は、その業界を舐めていると言っても過言ではないでしょう。

 

異業種の衣料品参入(ニトリ・ケユカ等)や、既存のMUJI(コア・コンセプトは素晴らしいのですが)の衣料品も、現在レベルのMDで衣料品業界を席捲できるとは考えてはいないのでしょうが?基本を徹底してきたユニクロは別格なのですが、伸び盛りのワークマンを過剰に褒め過ぎるのはいかがなものでしょうか?今は素晴らしい勝ち組ですが、

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。(業界の大半の常識は非常識なのです)

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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2020.12.07