生地 雅之

2021 19 Apr

出世

最近企業のTOP(代表権のある取締役)の異動が多く見受けられます。

そこで会社での出世について、考えてみました。

小職も前職はサラリーマンで、18年前に一部上場していました企業の取締役の退任を余儀なくされました。入社当時は商社の子会社で、途中アパレルで営業利益率20数%というエクセレントカンパニーとなり(当時商社からの天下りの社長の凄い経営力で)東証1部に上場を果たし、その企業の最年少取締役を拝命していたのです。就任6年後に退任し、即独立して現在に。

 

その当時の社長から現場の改革・改善の実績と出来ないと言わない前向きな姿勢を買われ、小職の事を理解して預き、引き上げられていたのです。取締役の指名の時に、「自社の取締役は全員直径10㎝の歯車で、色は白で統一されているから、そのように」との意向でした。

しかし、小職は生意気にも他の取締役はどうか知らないが、小職は直径20cmで他の歯車とはかみ合っており機能としては満たしている。そして「機能を満たしているのなら、歯車の色は何でも良いでしょうから、赤のままでやります」と答えたのです。それでも取締役に就任させて頂きましたが、その時思い上がっていたのでしょう。「出る杭は金槌を壊す」との生地語録を作っていたのでした。独立時の著書にも経緯を記載しています。


要は上司に恵まれなければ出世などはほど遠いのです。このような生意気なことは口が裂けても言えないのです。会社に帰属するという事は会社の上司に従って成果を上げ続ける事なのです。もし上司のいう事が違うと思うなら進言し、上司の考え方を変えて頂き、それで自分の思う正しいやり方で実行し、結果を出すべきなのですが、果たして出来るのでしょうか?

その上司も会社が任命しており、上下でぶつかった場合は余程のことが無い限り、任命責任があるので上司をかばい部下を異動させるのが常なのです。その後、落ち着いてから上司も異動させる場合も、

 

何を言いたいかと言えば、会社で出世したいなら、上司に嫌われてはあり得ないという事なのです。自分の出世をこの企業でどこまで望むかにもよりますが、最終社長までなら、到達するまでは余程上司に理解されないとNGで、ぶつからない事が優先されます。要は「草履を懐で温める」のです。YES=BUT法で、忖度する事ではない」のですが、要は一般的には現在のTOPの意向に逆らっては出世などありえないのです。まずは望むポジションまでは我慢なのです。給料を貰って仕事をしているのですから、経営者に逆らっては生き残りません。自分を通すのは「至難の業」であり、独立すれば可能なのです。

 

現在の日本の首相も、前任の官房長官であったのですが、前任が辞任され後継者に上り詰め、前任とは違った政策を実行しています。この施策が的を射ているかを議論しているのではないのですが、自分が思った企業にしたければ、自らTOPに上り詰めないと出来ないのです。上記の小職の様に上司に理解され、恵まれていないとあり得ない事なのです。そして前任が残っている間は前任否定できないものなのです。三越伊勢丹の大西さんが退任され、3月末まで在籍時の後任の杉江さんも、今回の細谷さんも同様です。前任が降りれば別ですが、

 

このように自分の思う通りの企業にしたければ、自らTOPに立つべきで、TOPになるには些細な事には目を瞑り、TOPに短距離・短時間で上り詰めるべきなのです。入社後部長の力量を身に着ける場合は、短い時間に到達した方の方に力があるのは当然で、若い方が如何に年上の部下を使える企業かも重要なポイントです。また、社長が交代すれば何でも自由裁量かといえばそうでもなく、完璧にフリーハンドになるまではそれなりの縛りも存在するのです。要はTOPに座って自分の思うように裁量を駆使できるようになるには時間も必要なのです。

 

しかし、改革には速さも正確さも必要であり、結果を伴わなければ経営者としても失格なのですから、過去の7&I-HLDGSの鈴木さんと交代された井坂さんの100日PLANや、今回の三越伊勢丹の細谷さんのこれから出てくるPLANも時間を切り、自分にプレッシャーをかけ、優先順位を間違わないようにして進められようとしています。それでも7&Iは走りながらほころびが出てきていますので、完璧はあり得ません。ある程度纏まれば走りながらの是正が必要不可欠です。要は良い方向と思えば、5度角度がブレていても、徹底実行が必須です。

 

小職の前職のTOP(上述の小職を取締役に任命された)が常に言われていた「計画は慎重に、実行は大胆に」は言い得て妙です。また、小職が最近唱えています「ヴィジョンが正しいか、否か?出来るか、否か?」が重要でしょう。この非常(コロナ)時における火消しを優先は当然で、先を見越した経営と火消しの二人三脚ができる企業と、一人二役(文武両道)をしなければならない企業の差はコロナ後に大きく差が出るものと推測されます。取り敢えず火消し優先で、火消しを徹底してやりきる事のできる人材(高島屋のように)が最優先されます。「今日が無ければ明日は無い」のですから、

 

小職が最近唱えています「百貨店の外商強化」、つまり、「猫も杓子もECに」ではなく、足元の外商をより強化する方が、百貨店には実になる戦略なのですから、優先順位を間違わない事が必要なのです。しかしまだ、「上げ膳・据え膳」に慣れているミドルやボトムが存在している現状を見るとマッチポンプにもなりにくい状況なので、TOP(代表権のある取締役)がそれを見抜き、体質改善を実行できるまでにはまだまだ時間が掛かると思われます。やはり「企業は人」であり、①動きやすい組織と適材適所、②ガラス張りの評価制度と運用が優先されます。この件については、近々にこのブログに掲載予定。

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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