生地 雅之
変わろうとしても、いつまでも変われない企業
変わる事が是ではないのですが、変わろうとしているのに出来ない企業が存在します。
変わろうとする意志はあるのですが、実現できないのです。それはそれとして問題なのです。
過去のクライアントに昔流の営業を常務の営業本部長が続けていて、行き詰ってきて営業活動の在り方を変えようと考えているのですが、中々変えきれないのです。昔流の営業とはTOPセールス方法で、顔の商売なのです。商品が売れなくなってきているのに、TOPとのNETWORKだけで「頼みますよ」という言葉一つで何とか切り抜けようとしているのです。売れていた時はそれでも大丈夫だったのですが、売れていなくなったら、不可能です。
何が売れていないのかを分析して、手を加えない限り売上は戻らないのです。勿論売上を戻さなくても利益を獲得する方法は存在するのですが、まずは売れていない原因把握が優先されます、その中に売上回復方法や利益改善方法が埋もれているのです。それを見つけない限り業績の回復などは「夢のまた夢」なのです。結果(赤字)が出ているのに、認めたくないのです。認めれば変わる事も出来るのですが、
そのクライアントのMTGで、データを作って頂くと、いつもその常務営業本部長は銀行から来た常務管理本部長が作成したデータのあら探しをし続け、重箱の隅を突っつく事に固執し、半年くらいはデータの不備をあげつらい、本音の出ない(出せない)MTGに終始して時間の無駄を繰り返していたのです。業績悪化の根本はTOP(代表者)の責任ですが、実行部隊の長でもある営業本部長もその一旦には責任もあるのです。
漸く半年後に、常務管理本部長にこれ以上ないくらいのデータを完璧に作りあげて頂いた段階で「逃げ切れない」と悟ったのか、腹が座り居直りされたのです。そこから1年半で改革が完成し、業績の復活が出来たのです。80億円程度の売上の企業で2億円程度の赤字であったのですが、2年後には5000万円の黒字に転換したのです。要は2億5000万円の営業利益の良化を見たのです。
このクライアントの依頼はそのTOP(親会社=買取卸ビジネスからの天下りで、その子会社は委託や消化=売れなければ返品もある)からだったのです。受ける前にその企業の実態をヒアリングし、そして親会社の専務管理本部長に面談した時に、「どうしたらこの子会社は良くなると思うか?」との質問に上記「営業本部長が、裸になってテーブルの上に乗り、腹を掻っ捌けば(居直れば)即回復するでしょう」と答えましたら、「思う存分やってくれ」と、
勿論、営業利益の低いまたは赤字事業の縮小(ロイヤルティが高く、儲かっていないブランドを違約金を払わないでの収束=段階を踏んだ在庫調整等)や、採算の合わない返品の多い赤字の催事の中止(着払い物流費の改善)等を実施して預き、営業利益率の高い事業の拡大(粗利率の高いPB比率の向上や不要な生産調整等)の「当たり前の事」の徹底を実行して預いた結果なのです。やればできるのです。「逃げ道がなくなって、窮鼠猫を噛む」が結果を生んだのです。結構荒療治でしたが。
後日談として、復活できたので小職はお手伝いを降りたのですが、TOPがその常務営業本部長を復活のご褒美として専務に昇格させたのです。TOPには「止めなさい」とお伝えしたのです。理由はMTGで決めた「こちらに向いて走ってください」にその方は忠実の実行されたのです。実行する事は難しさも当然あるのですが、向く方向を間違えて走っても答えなどは出ないのです。その向きを決めたのはその営業本部長ではないからなのです。
その後は自社では向きが決められなく、2年で再度赤字に転落し、同業社の大手にM&Aされて、今や企業名はなくなり、その買った企業の一事業部になっているのです。勿論当時のTOPも退任されていますが、その企業は小職の言うように、その方を当時専務に昇格させず、自分で考えて向きを示され、会社を引っ張って行かれて、安定的な業績にされてからでも昇格は遅くはなかったと考えます。
また、小職も降りずに、その企業の「第2STEPまでお手伝いしておけば良かったのでは?」と後悔しています。弊社は同じ内容での2回目の依頼は受けない方針なので、TOPの方針が代われば当然の事なのです。弊社はソリューション型コンサルであり、お困り事をヒアリングしてからの提案が主であります。TOPが代わる度に方針が変わる事(前任否定)も問題なのですが、そこがお困りと認識され、相談される企業も存在しない事にも問題があるのでしょう。
別途、通常コンサルはコミットしないのですが、弊社はコミットもする事も受諾しています。但し、TOPの上に立ち、命令系統を持たないと指示した内容をやらずにはコミットも不可能ですので、代表者等の命令系統を持っての改革案施行者(CEO)にならないと。現場は実行部隊なのですが、そのようなコンサルは通常日本では特に、認識されませんのですから、コンサル業界そのものがコミット出来ていないのです。
小職から見ると、営業利益が赤字や低迷している各企業も、診察すると判るのですが、頭痛なのに胃薬を呑んでいるや、右腕から血が流れ出しているのに、左腕を抑えて「大丈夫」と答えているように見受けられるのです。要は自社の立ち位置が自分でも判っていない事に尽きるのです。
大手コンサルの担当者曰く依頼側の企業に「何をしたいのかのWILL(i意思)が無い事に問題がある」ので、「何をして欲しいのかが明確ではなく、コンサルに頼めば何とかなるとの意識が高いから結果も出ないのです」と言われています。事実です。これも小職のこのブログに過去記載の「結果が出ないのは何故?」をご一読下さい。
ソリューション型コンサルは診察するドクターなので、診察して傷んでいるところを見つけ。治療したり、大きな傷なら手術や、適した薬の処方箋を出すのです。上記企業は根治治療をしただけなのです。実態データさえあれば、それで充分結果を生むのです。小職のこのブログの過去に記載しました「コンサルの選び方」もご一読下さい。
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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