生地 雅之

2022 25 Mar

店頭リサーチ「京葉線沿線」

毎年恒例の新春の店頭リサーチが始まっています。既に3月ですので年始ではないので、通常の店頭レポートに戻しています。

170.ららぽーとTOKYO-BAY(南船橋)
平日にJR京葉線南船橋から徒歩5分程度の掲店に行ってきました。流石に大きいのですが、それなりの入館客で賑わっていました。売れている館なので撤退店舗も少なく、すぐに変わりの店も入るのです。また、その際に合わせての売場移動もそれなりに行われ、新鮮さも出て活性化しているようです。

FBやSCも含め、小売業における撤退店はその館に来られるターゲット(お客様)とブランドのターゲットがずれている場合が多く、「自ブランドはこれ」と決めていても、その館にそのターゲットのお客様が来られていないブランドなら余程インパクトや知名度が高くなければ、そのブランドのお客様を取り込む事は不可能なのです。よって、それ以外の大半のブランドはそのブランドのままで商品構成を出来るだけその館に来館されるお客様に合わせる事が必要不可欠なのです。勿論商品幅が無ければ不可能なのですが、またそのフェイスに合わせての奥行の持たせ方でもブランドの顔を壊さないで済むのです。

ブランド力が無いブランド(ブランドタグやネームを外しても売上が落ちない)には館は、千葉初やららぽーと初等のオリジナル性を高める要求をしてくるのですが、受ける側も商品構成(幅出し)を各1店の為には変更できず、ネーミングをそれ用に付け足した程度で、館もショップも甘んじています。この結果がブランド力の低迷に繋がっている事にいつ気が付くのでしょうか?売場を獲得するために、館の差別化という名のもとに自分のブランドのエクイティを下げているのです。

171.イオンモール幕張新都心
上記ららぽーとから京葉線で2駅の海浜幕張からバスで5分程度で、手前(東京より)の新習志野駅との間にある面積最大の4モールあるSCなのです。過去にも記載しましたが、駅に近いグランドモール(核店舗にイオンのGMS=衣食住が入っている)が一番お客様も入っており、その他はがらがらなのです。

ここは最初からイオンモール越谷レイクタウンと異なり一つ一つのモールに特長を持たせ、グランドモールは一般的な郊外型商業施設で、ペットモールはペット関連のお店のみであり、ファミリーモールにはユニクロ、コムサイズム等のファミリー対応のお店、アクティブモールにはスポーツ・アウトドア系の商品群で纏められています。

この海浜幕張駅から一番遠いファミリーモールにもイオンの食品スーパー(のみ)があり、ユニクロを含め、ここまでお客様を呼び込みたいと考えているのでしょうが、ユニクロまでガラガラなのです。この横にスポーツ中心のアクティブ・モールがあり、スポーツオーソリティがメインの館の4館体制なのです。

この館の特長は上記イオンモール越谷レイクタウンとは異なり、ある程度絞ったカテゴリーのショップを集積しており、なお各々の駐車場を各モールに隣接させている点なのです。このアイデアは物見遊山で全店見に回るお客様が多いオープン当初には適していませんが、ある程度落ち着くと目的買いの来店になる事を想定しており、長期な対応としては素晴らしいものです。但し、買い回りによる衝動買いには不向きなのですが、

但し、海浜幕張駅から遠いモールは現在「鳴かず飛ばず」であり、新習志野駅と海浜幕張の駅の間にもう1駅作る構想(JR東と千葉県とイオン)が遅れ、イオンそのものが現金100円(ICカードなら通常運賃)バスを運営し続けていますが、それでも海浜幕張駅に近いグランドモール以外は閑古鳥が鳴いているのです。グランドモールも上記ららぽーと船橋程でもないのですが、

ここは新駅ができるまでに我慢できなくなると思われますが、イオン本社のお膝元でもあり、そう簡単には諦めきれない場所なのです。海浜幕張駅の近くには、イオン海浜幕張店(元カルフール)があり、ここはすぐに閉店になりそうですが、近くに食品スーパー等の小型店を新設し、他社に取られるくらいなら地元客にディリーユース客を自前で抑えるイオン特有の「大きい事は良い事だ」戦略で抑えてはいますが、このイオンモール幕張新都心に力を入れようとしています。

イオン海浜幕張店の品揃えを見ても、イオンの幹部が良く見に行くこの旗艦店の品揃えとは全く話にもならないくらい手抜きしているように見えるのです。このイオン(元カルフール)は鳴り物入りで導入したヨーロッパのデカトロン国内第2号店(首都圏1号店=国内1号店は西宮ガーデンズ)があるのですが、オープン当初からがらがらで、デカトロンもイオンもすぐに閉店になりそうですが、デカトロンは小売業に必須のローカライズが出来ていないままの導入だからNGなのです。つまり、地元でお金を払って頂けるお客様のニーズに合わせていない=マーケティングができていない事に尽きるのです。それをそのまま目を瞑って導入しても、上手く行くはずがないのです。

ここを維持させるには、イオンでも話題のTHE OUTLET HIROSHIMAを参考にアクティブモールか、豊砂公園やコストコの海側の道路の海側(外側)辺りににアウトレットの導入が必要でしょう。イオンモール越谷レイクタウンのアウトレットレベルではなく。勿論話題のオフプライスストア(ビジネスモデルが上記デカトロン同様マーケティングができていない)レベルではなくです。

イオンにはこの広さは不要なのですが、千葉県が丸ごと使ってくれる千葉県本社の企業という前提で依頼されて受けた場所らしいので、やむを得ない広さなのですが、運営できない広さであり、本来ならやるべきではないのですが、現在のSC(デべロッパー)も家賃収入のみで維持できてきましたが、今後はこのままで維持できる可能性は低いので、新しいビジネスモデルが必要でしょう=三井はそれなりにチャレンジ(試行錯誤)をし出してはいますがまだ成功の結果は見い出してはいませんが)

日本のアウトレットは欧米とは異なり、色サイズ切れはNGであり、アウトレットなのにセールが恒常化しているのです。つまり、百貨店ラグジュアリーブランド、FB&SC系ブランドの廉価版の館なのです。作るなら欧米の真似ではなく、国内SCのつもりで外向きショップではなく、内向きショップで、雨に濡れない導線と吹抜けのデメリットをクリアしたモデルにしないと。

今回閉館するヴィーナスフォートのような中途半端なラグジュアリーを見て、都心のアウトレットなら出ないラグジュアリーブランドも、南町田のグランベリーパーク(東急)、横浜ベイマリーナアウトレット(三井)も上記造りは出来ていないのですが、それなりに好調に見えます。ここは千葉ですし、立地的には同等であり、上記対応がクリアできればまだまだ活性化出来うる商圏です。駅前にある三井の幕張アウトレットは小粒でもそこそこ売ってはいますが、

SCとの複合型ワンストップショッピングの完成型、当初はイオンモール神戸北と三田のアウトレットの隣接型(両館の間に道路があるのですが、上では屋根のないペデストリアンデッキで繫がっており、駐車場の相互活用も=この駐車場の相互活用は閉店前の柏そごうと現存する柏高島屋でも実施していました=そごう側の提案らしい)であり企業は異なるのですが、相乗効果が出ていますした。これが1企業で出来るならイオンも負けるとは思われないのです。(知恵は外で買う、作業は内製化の時代なのです。2月22日付繊研新聞への小職の寄稿記事「他力からの脱却に必要なこと」内容は内製化は正解か?をご一読下さい)​​​​​​

172.イオンスタイル検見川浜(マリンピア)
ここは海浜幕張から蘇我側(東京駅より反対側)に1駅隣の検見川浜駅傍のイオンなのです。多層階であり、B1Fに食品、1Fに化粧品等、2Fにファッション、3Fに日用品に子供服、4Fにレストラン、カルチャーとなっていますが、夕方でも食品売場でさえがらがらなのです。

ここは前回にも記載しましたが、2Fの衣料品売場に「値下げ予告チラシ」が商品に付いているのです。例えば、紳士スラックスには現在「5800円が〇〇日より3000円」等なのです。この表示でお客様にとって本日購入する意欲が出るのでしょうか?このようなイオンあるいは他の小売業は殆ど見た事もないのです。

過去に百貨店のセールで、予告パンフレットが約1週間前から店頭に並んでいたのと同様なのです。現在はコスト削減の可能性か殆ど見当たりませんが、まともに売上や利益が出る筈もないのです。お客様が自ら情報を得るのが普通であり、1Fのエスカレータ前で7Fの催事売場の当日の催事チラシを見て7Fに向かう人がいて、見なかった方が自宅に帰ってその店の催事をホームページで見て、「チラシを貰わなかったから、その商品を購入できなかった」とクレームを言ってくるお客様は殆どいないのです。勿論どちらも1物2価ではないのですが、

最初から3000円で売らないので、価格は当初5800円で売りたいのでしょう。しかし作りすぎたのか残っているから値下げするのですから、当初の5800円を値付けした意味はどこにいったのでしょうか?生鮮産品も需要と供給のバランスで価格が付いているのですから、価格をこのように弄ぶのなら、最初から3000円にしておくべきでしょう。

今回は別途、夕方の4時50分頃にあと10分程度で○○に行くバスが出ますとのアナウンスまで実施しているのです。買い物に来店されているお客様に10分でも長く店内に滞留して預く事が売上増加につながるのですから、「早く帰れ」とでも言うようなアナウンス等がお客様への本来のサービスと言えるのでしょうか?

目的買いのお客様なら判りやすい売場レイアウトをしていれば、そのもののみを購入され、帰りの時間は自分で調べているでしょうから、これをお客様目線と思っているのならお客様を舐めていると言っても過言ではないでしょう。「この店は単純に可笑しい!」(企業として儲けるを前提としたお客様目線を勘違い=誤解している)と言えるでしょう。

食品売場の目的買いにはテースト別売場(和食の集積や、イタリアン食品の集積など)と単純な今まで通りのカテゴリー売場(野菜は野菜、ワインはワイン等=衣料品や住居関連商品は不要)の2場所を提案しており、当然一物2か所を推奨しているのです。このためには自店の販売実力の把握(これが出来れば儲かるのみですが)が最優先されますが、

イオンはネーミングが下手であり、イオン㈱という持株企業が、子会社にイオンリテールというGMS(元ジャスコ、現ダイエー等)を持ち、イオンモールという商業施設を運営しているデベロッパー子会社も、イオン銀行(金融)等も含め200社程度を運営しているのです。売上はイオンリテールとイオンモールであり、利益はイオンモールとイオン銀行がメインで支えているのです。営業利益額が確保出来れば良いのでイオンリテールの存在価値は?

その中でイオンリテールのGMSとスーパー事業ではイオンというネーミングで広げてきたのですが、行き詰ったのかイメージ刷新かで、イオンスタイルとの名前を展開しだしたのです。それも定義が明確ではないので、改装する度にスタイルが付いたり付かなかったりとお客様には全く理解されていないショップブランド戦術なのです。

その後ネイバーフッド型イオンを「イオンそよら」と呼び、1号店を大阪福島(阪神野田)に出店しています。福島は海老江という駅前にテナントとして入っているイオンもあり、そこから5分程度の場所(住宅街)に「そこら」を出しだしたのです。恐らく駅前は退店するのか出されるのでしょう。「そこら」はその後、新金岡(大阪堺)、上飯田(長野)等にも少しづつ広げだしてはいますが、

別途、昨年秋にイオン南行徳(千葉)「以前はイオンそのものが衣食住展開していました」を野村不動産が改装し、核店舗にイオン(食品スーパーのみ、他はテナント)を導入した事は昨年よりこのブログでも多く記載していますのでご一読下さい。その他このソコラは日吉、武蔵小金井、阪急塚口、用賀、若葉台、青葉台等展開を広げ、核店舗にイオンの食品でさえ展開していない館(そう大きくはない)なのです。

この様に、ショップブランドでさえまとも(マスターベーションではなく、お客様に判りやすいような)に区分けができていなく、ただ何でもスーパーがあるので、利用している感覚に捉えられているようです。このようなブランディングしかできていないのは売場・商品を見る限り当然と言えます。

172.アリオ蘇我
JR蘇我駅からイトーヨーカドーの無料バスで約10分で、アリオ蘇我に着きます。道路を挟んで島忠(ホームズ)とペデストリアンデッキで繫がっています。アリオは2層であり、テナントは大したことはなく、夕方でも核店舗のイトーヨーカド―の食品売場、勿論ホームズでさえがらがらでした。ホームズ(2F)の下に食品スーパーの「ロピア」が入っており、ここだけはそこそこ入っていました。

これからの商業施設は、立地は当然ですが、テナントは食をメインで各社の強味を編集すべきであり、肉はロピア、NB食品はOK、生鮮三品は地元商店等にすると集客はお客様目線で最高です。勿論交渉は課題ですが、自らの販売実力が把握できれば買取ででもやるべきでしょう。最初は機会ロス覚悟でも、勿論上記館造り、売場造りのベストは必須ですが、基本を理解している前提で「どうあるべきか?」が認識できていれば方向性は問題なく、「何時単年度黒字化が出来、その後何年で累積赤字を消せ、その後はすべて+になる」の目標設定をどうハードルを越えられるかなのです。出来ないと言う前に出来ない障害を見つけ、一つ一つ潰していくべきなのです。

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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