生地 雅之
頑張れ!百貨店-3
最近の大手百貨店の四半期決算を見ていると、優勝劣敗の差が出てきています。なんとしてでも黒字に死守した企業の素晴らしい事。今日の飯を食えなければ明日は無いのです。「あるべき姿」論を唱えての赤字企業よりも結果を出しているのです。「拍手喝采」なのです。世の中激変していようがいまいが、「岩に噛り付いても生き残る」との意思を表明していのです。
この決算(結果)を「どう捉えるか?」社員は上を見ているのは当然(明確)であり、経営の姿勢が注目されているのです。「上を見ている事」を容認した経営が望まれている(理想は理想で当然必要なのですが、現実を認める事=三現主義の徹底をされる事)のです。どうして耐えて生き延びられるのでしょうか?全員の給料が減っても食えるなら大丈夫でしょうが、それとも一部血を流してでも残存者の生存を意識するのか?
一時、地元の自治会の役員(理事)を依頼されて数年間受諾していた頃、防災部長を拝命していたのですが、貯蔵に米を会員数の3日分を購入されようとされていたのですが、米を炊く機能(炊飯器等)が予算もなく、購入されない計画だったのです。その時米を半分の人に供給して、余剰予算で炊飯器等を購入し、「全員が餓えるよりは」の提案をしたのですが、平等性を重視している幹部により否定されました。同様なのです。平等性よりは公平性か?
このくらいの覚悟が現在の経営者に望まれているのです。過去に百貨店の盟主になろうとした人と面談し、「企業もジャンプしたければしゃがまなければ突っ張っていてはジャンプもままならない」と提言させて預いたこともあるのですが、聞き入れられずにその方は部下に足を引っ張られて退陣を余儀なくされたのです。
次のTOPは「弊社は850人リストラしなければ生き延びない」とその数年前からおしゃっていたのです。正しいのです。その時点で組合に漏れていれば、その後TOPには就けなかったのです。TOPに就きコストカットに奔走され、結果のコスト削減は目を見張る位だったのです。しかし、併行しての無駄な投資に明け暮れ、「社員の夢」を壊した事は残念な事実なのです。
最近の百貨店は「自分で作って、自分で売る」という姿勢は一部の経営者はやるべきと認識していても今は言えない(自社内では出来る人材も不在等=自社内でなければ十分可能)ので表向きは諦め、場所貸しに徹して行こうとしています。「百貨店ごっこはやらない」と言われた企業は黒字企業であっても「百貨店ごっこもやれない」が事実であり、自社の実力を冷静に認める事からなのです。
今は百貨店がコロナ禍でもあり経費削減に目が行き、内製化に奔走しています。できるならいままでも出来ていた筈なのです。では何故できなかったのか?人材育成が出来ていないのに内製化しても出来る訳が無いのです。要は即効性を求めるのなら、使えない人材の削減をより徹底し余剰金額を生み出し、外部の知見を買うべきなのです。使えない人材と買うべき知見の見極めも重要なポイントなのですが、
また、この「百貨店」の定義が場所貸し(業界一般論としては、これが増加すると容認)と言われているのですが、果たしてそれで可能なのでしょうか?既に場所貸しはFBやSCで過去から実施されており、すでに2桁程度の利益率を上げているほどのノウハウがあるのです。百貨店も殆ど場所貸しなのに、利益率は微々たるものなのです。場所貸しノウハウも蓄積できていないのです。
それはこれからでも蓄積される事(これも自社で出来ないので、社外を使ってでも)を期待して、コンテンツ開発は既に出来ないのですから、割り切って素晴らしいコンテンツを開発している企業を見つける「先見の明」を研鑽すべきなのです。バイヤーからこの業務(業界別にプロの目線を持つ専門家を育成)に転向させるべきなのです。現在は好立地ビジネスに依存しているだけなのです。郊外の広さが都心の狭い好立地を上回っているのですが、そろそろ郊外の広さに陰りも。(この件は別途このブログに掲載予定)
先日、出来たセブンパークARIO河内天美にリサーチに行ってきました。平日の朝一であり食品スーパーのLIFEもチープな衣料品テナントも閑散としていたにも関わらず、VSPARKは50人以上の人が列を成し、素晴らしい繁盛ぶりです。儲かっているのかは別なのでしょうが。
このVSPARKとは、バンダイナムコが開発した体験型のエンタテイメント施設であり、18年に大阪のEXPOCITY(ららぽーと)、20年にららぽーと愛知東郷、21年にイオンモール利府、イオンモール上海、イオンモール越谷レイクタウン、そしてセブンパークARIO河内天美の6店舗目なのです。時間が掛かってはいるのですが、いまだに列を成す店を展開しているのです。
この様なコンテンツを開発している業種や企業は沢山あり、見つける力が欠けていると言っても過言ではないでしょう。問題は自店のターゲット(お客様)にヒットするのかが重要であり、自社・自店の顧客のターゲティングの認識が最優先されるのです。そこにマッチィング(マーチャンダイジング)できれば十分なのです。
上記黒字を死に物狂いで出された百貨店の主要店舗の店長が、ご紹介したハイコンテンツ開発企業に向けて、自店の優良顧客にそれをお伝えする手法まで要求されたことがあり、小職が止めた事もあるのです。それこそ百貨店の仕事なのです。ハイコンテンツを開発している企業(取引先=メーカー)に自店の顧客層もニーズも知る筈がなく、それこそ百貨店側の仕事(業務)なのです。
また、某有名百貨店の社員がお客様の声を聴いて対応する(マーケットイン)と宣わっていたので、再度プロダクトアウト(欲しいと思って頂けるようにして、お客様の前を歩く事)に戻すべきを意識した上でのマーケットインであるべきと提言したこともあり、まだまだ現場(ボトム=部長未満)の意識は低いのです。ミドル(代表権のない取締役から部長以上)の教育の問題です。カスタマーイン等の言葉遊びよりも、さっさと結果を出すべきなのです。
この様な事は日常茶飯事であり、「人の振り見て我が振り治せ!」なのです。TOP(代表権のある取締役)はこの実態を認識して、いち早くミドルの教育に目を向けて実践して欲しいものです。ボトムを教えられるミドルへの転換が望まれているのです。TOPの意思を会社全体に広げられるのはミドルであり、ミドルの有効活用こそ企業の発展に繋がるのですから、
この非常時に非情になりきれるTOPが存在しているのでしょうか?確かに「釦を押して会社を回す」必要があるのですが、結果を出せるのなら、現場を知る実践型でもスタッフ型でもどちらでも問題はないのです。結果(黒字化や、安定的な黒字化が出来れば)が出れば良いのですから。「非常時の火消し」を徹底できる人を起用する人事(数年後に戻しても)を望むものです。
A社でいえば、院政を敷いている会長の社長兼務、現社長は副会長に、営業本部長には前々営業本部長に、現本部長は副本部長に、B社でいえば、切った張ったの修羅場をくぐってきた現場に精通した専務を社長に、現社長は会長に、C社は百貨店の現場に精通した親会社の社長が兼務に、現社長は副社長に、D社は現場に精通された現社長が事業会社のみの社長及び親会社の会長に、親会社社長には次期社長候補を抜擢しても、E社は百貨店経営が出来る人が不在の様ですので、清算が優先か?すべて非常事態が平常に戻れば人事を戻してでも、この非常事態を潜り抜けて頂きたいものです。
小職の前職のTOP(故人)は小売業・流通業の素人でしたが「計画は慎重に、実行は大胆に!」の言葉を実践し、280 億円規模の一部上場アパレルで10年間も営業利益率20数%を維持させた素晴らしい経営者なのです。小職はその経営姿勢を受け継いだ唯一の残存現役なのです。当時小職は実践者であり、経営のケの字も認識していませんでしたが、
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
弊社へのご連絡は、HOME-PAGEのお問合わせより、お願いします。