生地 雅之
外圧でないと改革・改善できない企業
昨今、企業の業務改善が進んでいます。
先日の日経の記事によるイオンの改善も、親会社とは言えイオンリテールの改善を指示し、やった(やらせた)のはイオンの財務・経営管理担当執行役員なのです。指示内容は的確で、
1. 不良在庫の圧縮
2. 効率追求
と当然の施策なのです。
指示しただけとの周辺のコメントも聞こえてきますが、方向性の指示が的確でないと結果は出ません。また実行したのは現場だと宣う人もいらっしゃるのですが、「当たり前の事を、当たり前のようにこなす事」が自社内ではできなかったのです。要は自浄作用が働かなかったのです。ほとんどの企業がこの実態であり。第三者から見れば至極もっともな事が社内で出来ない事の現れなのです。
何故できないのでしょうか?トップも含め、自社を冷静に見られていないのです。悪化原因が見えていてもその原因を触りたくないのです。トップが嫌われる事を拒否しているのです。拒否していなくとも、「今まで何とか出来ていたので、今後も自然体でも少しずつは良化するのでは」との甘えの構造以外には何物もないのです。トップが自分に厳しくないのです。
また、その後の日経MJの記事「デサントの復活」についても同様で、大株主の伊藤忠のTOPより改善するために、TOBされ株を大半持たれ、言う事を聞かないとの圧力に屈したのです。それまでの経営者は上記同様のいままででも維持できていたので、少しずつでも改善していくだろうとの見方だったのです。
伊藤忠のTOPはこの経済環境の変化の速さを鑑み、このままでは成り立たなくなると見抜き、大きく改革せざるを得ないと判断し、社内の優秀な駒を新社長として送り込んできたのです。これからも子会社や持ち分法の会社も含め、上手く行っていないアパレルも多いので、社内にこの程度の優秀な駒が居れば、どんどん送り込まれると思われます。
この他、三陽商会の現社長も同様で、三井系のゴールドウィンから送られてきた元商社マンなのです。来られた時の再生プランを見ると、内容は至極もっとな内容であり、これをそのまま実行出来れば再生も難しくはないと思えたのです。問題は外様である新TOPが社内の抵抗を抑えてでも、「出来るか否か?」だったのです。結果できたのです。素晴らしいものです。
過去にコレド日本橋に百貨店の親会社があり、そこでそこの専務と面談していた時に、その数日前に業界紙に小職が寄稿していた「当たり前の事を当たり前のようにできる事」を読まれ、会った即の挨拶代わりに「出来ていません」と頭を下げられたものでした。その方が業界の代表でも、その企業のTOPでもなかったのですが、自分事と捉えていらっしゃったのです。これも素晴らしいものです。その後退任されましたが、この様な人が消える企業の将来は?
要は改革・改善は、悪化原因に気が付く事からですが、実行に移すには現在では外圧が必要付加欠なのです。イオンの事例は中に入らなくても命令が出来るポジションからの指示であり、デサントや三陽商会はそれを認識できる親会社から送り込まれた実行部隊の優秀な駒がいれば問題ないのです。一早く、改革・改善に向かう緒に就いて頂きたいものです。
基本そのような優秀な駒が社内にいれば問題もないのですが、ボトムの提言されるその案や方法を理解する頭を持っているTOPがいないと、実行に移すべき判断出来ないのです。要はTOPも研鑽すべきなのですが、「ミドルの教育」に尽きるのです。要はボトムの案を理解・消化出来る柔軟な頭を持ったミドル(言われたことのみをこなすミドルではなく)の育成こそ重要なのです。将来10~20年先を見越してのVISIONや方向性を示唆できる人材育成が中長期的にも重要な課題になってきているからなのです。
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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