生地 雅之
ZOZOスーツの終焉
身体計測事業はワコール(最近ここに500億円投資と)が割と早い内に手をだし、三越伊勢丹が婦人靴で取り上げ、ある程度の売上を確保してきました。それを紳士靴や下着に広げる事は容易に推測できましたが、服までやったらNGとは当初から考えられたものです。
理由はウェアはゆとり量が人によって異なるので、ビッグシルエットを着ている人は割と大雑把なのですが、スリムフィット(=2着スーツショップのサイズ展開を見ればわかるのですが、男性にはそこそこ多い)は中々広がらないと予測していたのです。
ヌードサイズ(実寸)を「計測できたからと言って、自分のウェアのゆとり量を自己認識している人は殆どいないのですから、よって、ジャストサイズの必要なアイテム(下着のブラジャーや靴等)は理解できるのですが、それ以外の必要性は未知数であったのです。
別途、オーダーにも活用されようとする向きもありましたが、特にスーツのオーダーの定義には身体の不足部分を補い、美しいフォルムを構築する目的も大きく、身体計測すると判るのですが、人間の体は左右対称ではなく、肩幅も左右同じではないのです。(ウェアを実寸に合わせる考え方の人も、左右対称にしたい人もそれぞれご本人の意思)
例えば見た目左右対称の眼鏡でさえ、耳に掛ける弦(つる)の長さや高さや角度まで左右異なっているのです。耳の位置が左右同じではなく、眼鏡をかけた事のない人には判らない事象なのですが、胸の厚みも左右異なり、オーダーでは増芯等で補強して左右対称に見せるテクニックも必要で、活用されているのです。
テイラーの職人にとっては至極当然であり、お客様も幾度もテーラーで仕立てている人には認識されている技術なので、ZOZOの様に過去のデータでのパターンを多く準備し、お客様に実寸に一番近いサイズのパターンで生産して届ける事がオーダーと言えるのか?全く疑問の域を出ていないのです。
この件もマスコミを含め全くテーブルに乗っていない事には驚くしかないのです。既製服ではまずありえないし、既製服は左右対称であり、服に自分を併せているので、一番近いパターンを選んでいるのみなのです。オーダーの基本とは奥深いものなのです。
ZOZOスーツ等は「華々しくデビュー」し、ビジネスとして継続できない場合は「こそっと手じまい」なのです。過去にもこのブログに記載しましたように「本当にやって見ないと判らない事」だったのでしょうか?甚だ疑問なのです。
昨今話題のオーダーブームですが、小売業はカスタマイズ&ローカライズしないと生き残らない業界なのです。裏に存在する生産とはマスなので、1着づつ生産して儲かる事はあり得ないのです。如何に自社・自店のお客様の平均値を見抜き、最大公約数をマスで生産・仕入し、パーソナルに個別提案して売っていくかに尽きるのです。
要は自社・自店の販売実力を的確に把握し、「マスを如何にパーソナルに売るか」が課題なのです。このために技術(AI等)の活用が必須なのです。この販売実力を把握できればビジネスは勝つのです。これを的確に出来る機能(組織∔人材育成=外部でも)をいち早く獲得できた時点で勝ち組になるのですから、
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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