生地 雅之

2019 15 Jul

小売業の売場の方向性

最近の店頭をリサーチしていると、10年~20年前の店頭よりも、素晴らしく整然と並んでいるのに、売上が低迷しているのです。(雑然とした売場が素晴らしいと言っているのではないのですが)

これは業種を問わず、百貨店、専門店、量販店、ファッションビル、ショッピングモール、アウトレットのほとんどが該当しているのです。

商品はシーズンにより「当たり外れ」があるので、議論に乗せないで会話しますと、すべての衣料品小売業がきれいな売場を構成できているのです。

 

それでも、売上は低迷しているのです。

確かに、商品の品番数がまだ多い売場も多いのですが、その店は手直しをすれば即30%程度の前年比の改善は見込め、その後次シーズンに適正な品番の投入を、その翌シーズンにはブランド全体の品番の適正化と適正な生産金額を設定できれば、全店の店頭売上を維持向上させながら、ブランドの営業利益改善に向かえるのです。

しかし、ほとんどのお店でできる事はある程度消化されつつあるのです。(徹底度はまだまだの企業やお店もあるのですが)

 

先日の日経MJの記事にありましたが、アンケートによると値下げをしないで次シーズンを乗り切りたいとの回答が多いのですが、売場構成を見る限り価格を上回る価値をお客様に魅せられていないのです。よって、セールの時期とアウトレットには多少購入されているお客様が多いのです。

アンケートのように値下げをしないで、他社、他店に打ち勝つことが出来るとも思えません。

要は今までの売場構築を現在、または将来のお客様に気に入って頂ける提案がなされていなく、このままでは「いつまでも綺麗だけど売れない」という売場になっているのです。

 

経済環境の変化により、お客様の買い方や過ごし方が変化していて、それに向けて見せ方や売り方を変えないでは、今までの売上が確保できない状況になってきているのです。

最近は「コト提案」という言葉も独り歩きし、ライフスタイル型にしようとスポーツや旅行といった切り口での売場提案も見受けられますが、そのライフスタイル型提案売場でも商品が売れていないのです。衣料品売場では多少雑貨を加えただけで「コト提案」と称していますが、

では何が欠けているのでしょうか?それはテイスト軸といった切り口が不足しているのです。

 

そのテイスト軸という言葉をライフスタイル型という売場編集に乗せればお客様にとって、居心地の良い売場(サイトも)になれるのです。

常に「お客様のお気に入り」に入れて頂き、何を買うと決めてこられる「必需品」の売場のみではなく、衣料品はウエストサイズが変ったり、古い衣料品をそのまま着られない人以外の「必欲品(なくても困らない商品)」として認識され、その上欲しいと感じて頂き、購入して頂かないと売上など確保できない状況になっているのです。

 

このような売場を構築するには、お客様の居心地の良い売場はどのようなテイストで括れば良いのかをマーケティングする事から始めるべきなのです。

このような服を着ている人は、このようなインテリアのある部屋で寛ぎ、このような食事を食べていると心地良いという提案軸を決める事から始めるべきです。

この衣食住のまとめ方が最善であり、現在のカテゴリー的売場のみでは、またはテイスト軸の無い衣食住の売場のみでは、すでにお客様には満足預けない状態なのです。

 

お客様のものは自分がどのようなテイストなのかを認識している人は少ないのですが、自然とそのような売場に浸っているのです。それをマーケティングする事や、自分のテイストに気が付いていない人に、衣食住の一つのカテゴリーから全体のまとめ方を提案する事も手法の一つなのです。このようなテイスト軸を細分化する前に、大きく2~3分割から始め、その後細分化されるのも一つですが、そんな細分化の必要があるのかは2~3の細分化後に判断しても良いのではないでしょうか?

 

考え方の基本は一つでも各企業、各社、各店に手法は異なりますので個別に、、

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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