生地 雅之
三陽商会応援宣言3
三陽商会は再生に向けて、生みの苦しみに藻掻いています。ゴールドウィンから招聘した大江社長の元、一丸となって大江社長が練りに練った最高の再生プランに取り組んでいます。
しかし、まだ目処は立っていません。何故なのでしょうか?
理由は一つ社員のモチベーションが上がっていないと思われるのです。目標については一つ一つある程度まで仕上げていると公言されているのですが、今一明かりが見えていません。ここが問題なのです。
逆に返せばゴールドウィンで成功された大江社長は本当にゴールドウィンの貢献者なのでしょうか?その結果は素晴らしいものでしたが背景は同じ位の企業なのです。三陽商会の基盤はゴールドウィンとはそう遜色がなく、素晴らしい企業なのです。
ポイントはマーケットの読み方が異なっている(ずれている)のではないでしょうか?マーケットの読み違いによって、自社ブランドの立ち位置、向かう先が異なるので、再生への道がずれていると思われるのです。
先日のオンラインニュースでも大江社長らしからぬコメントが出ていました。小職は面識はないのですが、過去に発表された三陽商会の再生プランは素晴らしいのですが、先日のコメントは同じ方とは思えない位なのです。
要は百貨店に再生を求め、利益の配分を変えて欲しいとの他力政策なのです。百貨店も斜陽産業と言われ、各社再建に向けて努力されているのです。内容は遅々として進まずの状況ですが、他社も慮るレベルでは全くないのです。
このような他社にHELPを求めるなどは信じられないのです。マスコミが正しく表現されているかは別として、自力で立ち上がらないと、よってゴールドウィンでの実績はご本人のみではなく、過去の先人が積み上げて来られたブランド力やスタッフに恵まれたのではとの穿った見方になってしまわざるを得ないのです。
小職の前職は280億円レベルのアパレルでしたが、営業利益率25%以上をコンスタントに稼ぐ、エクセレントカンパニーだったのです。その基盤を構築された素晴らしい社長(故人)に育てられ、高収益のビジネスモデルを叩き込まれ、現在はコンサルでそのノウハウを駆使しています。
その仕組みを構築された前社長でさえ最後には「裸の王様」になり退任されましたが、それまでの10年弱は素晴らしい実績を上げられたのです。今やそのノウハウと実践を守っているのは小職のみなのです。
良くその営業利益率はフォローウィンドが吹き荒れていて、「入れ食いで売れていたのでしょう」と宣わる方もいらっしゃるのですが、その当時でさえ営業利益率が2桁のアパレルは2~3社くらいしかなかったのです。まして20%台のアパレルなどは、当時はライセンスビジネスをしていた企業1社を除いては、実際商品を製造していたアパレルではFIVE FOXくらいなのでした。今に置き換えては、5%もないアパレルだらけなのです。
このように経済環境が変われば、平均的な数値が変わるのは当然として、出来る企業はその中でも頭の一つや二つは抜けているのです。要はどの環境に置かれても、出来る人や企業は一味も二味も違うものなのです。
話を戻して、この論点に三陽商会を置き換えると、再度再生プランの原点(やろうとされている事は正しいと思われるのですが、)に返り、「自分が外様」と明言され、どなたかに社内のパイプ役をして頂くのであれば、初心に戻って部下をフル活用されるべきでしょう。何でも自分で決めるのはともかく、一人では何もできません。周りの協力がないと、もっと周囲を信じて、使いこなして頑張って頂きたいものです。
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
上記コメントを作成した後に、マッキントッシュグレーレーベルの6月1日にルミネ2と6月2日に二子玉川のライズのお店を見てきました。過去にもMPS(マッキントッシュフィロソフィーストアでも拝見しましたが、同じ間違いをし続けているように見受けられます。要はブランド(価格・品質・MD等)が、チャネルと合っていない(特に価格が)のです。
ファッションビジネスで成功するには、価格ラインを一番意識しないと失敗するのです。百貨店グレードの品質の良い商品ではあるのですが、FB(ファッションビル)に来られるお客様はそこは第一優先で望んではいないのです。まずはデザイン性(ここはそれなりに)ですが、次に価格ラインなのです。順位は2番目ですが、シェアは50%以上もあると思われるのです。一番目は欲しいか否か?なのです。それが期待価格よりも上回っていれば、
一般的には百貨店を10とするとルミネやPARCOなどは5で、SC(ショッピングモール)のららぽーとやイオンモールは4程度、GMSのNOブランド(PBクラス)なら2なのです。そのチャネルで成功するにはまだ1ランク下で構成すべきなのです。
ここを間違っていて過去のMPSも、ユナイテッドアローズのエメルリファインズ(ブランドリメークしても修正できず苦戦)と同様に見受けられるのです。これで良いのなら何をか言わんのですが。過去に他アパレル(SPA)でルミネでブランドリニューアルした後の初日の売上が1800万円クラスを達成したブランドの価格はFBでSC向けの4(1ランク下げて=何か一つの強い特徴でもあればともかく、なければコスパ=ニトリの「みんなのグルメ」のように)で展開しての結果なのです。
勿論、FBやSCでも1ランク上で挑戦されるのは自ブランドの戦略であるので、否定するものではないのですが、お客様視点から見ると、器の見た目よりも安価であると価値(バリュー)を見出して頂けるのです。そうでなければそのブランドの強みが自ブランドが狙っているターゲットのお客様にお伝えできていないのです。
このような事を続けている余裕が三陽商会にはないと思われるのですが、過去にも記載しましたが、価格ラインを変えるには工場そのものの見直しから入らないと、不可能なのです。まずは利益額を確保し、その後利益率を確保し、儲けられる仕組みを構築すべきなのです。足元の火消しが出来ない企業には明日(将来)はありません。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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