生地 雅之

2020 31 Aug

女性登用が女性向け商品や売場の改善に繋がるのか?

7月28日と29日付の繊研新聞の1面記事に、アダストリアの会長兼社長の福田氏のコメントが掲載されていました。コメントの表記そのものが福田氏の意図そのものかは不明ですが、コメント内に「婦人靴の担当に女性を当てた」との記載がありました。本当にその人事配置が商品の改善に繋がるのでしょうか?逆に男性服の担当者は男性が多いのですが、お客様(使用者)が男性だからと言って、そのニーズや気配りが出来ているとは全く思えないほどの服が量産されている実態は何なのでしょうか?女性を蔑視している訳ではないのですが、そこは性別は関係ないと言っているだけなのです。

 

過去に、ECの提案を某企業(4期連続赤字で苦戦中)に提案した際に、ECの購買の80%はスマホであり、大半女性なので、女性に見やすい買いやすいサイト構築が前提との提案に対し、断る理由の一つなのでしょうが、自社には女性社員が多いので、自社サイトの買いにくさをアンケートして改善に向かうとの事でした。女性がというよりお客様が、お客様目線で買いにくさを教えてくれる事は全くなく、売場(サイト画面)が買いにくければ黙って売場(サイト画面)から出て行って二度と戻らないだけなのです。お客様がこの売場(サイト画面)の何処が気に入らなくて出ていくのか?買って頂けないのかを教えてくれるお客様(男性・女性を問わず)はいないのです。(小職の考える売場構築マニュアルの詳細は個別に)

 

この様な事例は多々存在しているのです。プロは黙って出られる、買われないお客様を見て、どこが買いにくいのかを考え、売場(サイト画面)を改善していくのです。リアルの売場では、導線が狭く入りにくいや、棚やパイプハンガーが高くて見難いとか、売場が暗く見難いや、パイプハンガーに掛っている商品が(お客様が立って手に取る位置から)右向きのため、右手で手に取れば商品は背中を向け前面が見えない(日本人の左利きは9%程度であり、売場を外から見て、入口から前面を見せるという意図なのでしょうが、実際に買うお客様はまず手に取るので)、色の並べ方に違和感がある等の不備が存在するのですが、そのような事例はお客様の誰一人も教えてくれないのです。そのような事に気が付くのは意識を持ったプロだけなのです。気が付けば修正は難しくはないのですが、気が付く企業が少ないのです。

 

良くあるマニュアル本も一部は正しいのですが、自分自身がお客様になり、何故商品を見にくい、買わない・買えないのか?という目線で、売場(サイト画面)を見る事から始めましょう。その目線は初めて自店や自社サイトに来られた人という意識の上で、理由は自店の売場や自社サイトは自分で既に何が何処にあるか(画面ならどこをクリックすればよいか)が判っているから探しやすいのですが、初めて訪問された方は全く判らないから買いにくいのです。

「商品開発は別だ」との声も聞こえそうですが、商品開発でさえお客様目線で商品を見れば十分開発可能なのです。男性や女性という性別に関係なく、お客様の立場で商品や売場を見て、プロの技で課題を発見し、プロの技で改善し続けないとお客様の満足度が高まる筈もないのですから、

勿論、接客も同様ですが、上記を実行すれば少しは見えてきます。そして、マニュアル本を盲目的に信頼する事にも問題があります。自社・自店の売場(サイト画面)で検証し、TRY&ERRORしながら自社・自店マニュアルを自ら作り上げる事が必要不可欠なのです。それこそ地に足が付いた施策なのです。出来ている、精一杯やっているとの声も聞こえてきそうですが、出来て居れば前年実績は取れるのですが、まず出来ていないとの目線で、売場、画面を見直す事から始めましょう。

 

現在の企業で売上不振の原因をどう見るか?他者(天候や気温、震災等)要因にするか?自者要因とし、自分で出来る事を見つけ精度を高めるようにするかで、全く異なるのです。

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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