小島 健輔

2018 19 Jul

明治通りに漂う“オワコン臭”

 すっかりオワコンになった外資ファストファッションなどイケてないブランドが並ぶ明治通りはお登りさんと外人客ばかりで“オワコン臭”が漂い、玉石混交ながら面白い店も見つかる裏通りに回りたくなる。高級ブランドのフラッグシップが並ぶ表参道もブランド消費を卒業した日本人にとっては観光客向けの外人租界でしかなく、六本木同様、知らない他人の街という疎外感を否めない。外人租界と言っても、かつての歌舞伎町のような恐さはないし六本木のようなスノブな悪所でもないが、親しみのない他人の街であることは変らない。

 なんでこんなにつまんなくなったのか、その背景は以下の5点だと思う。

1)表通りは不動産価値(賃料)と使用価値(売上)のギャップが開きすぎ、必ずしも単独採算を必要としないメジャーブランドのフラッグシップばかりになってしまった。

2)外資の上陸一号店や新業態のパイロット店も珍しいのは一時で、あっという間に駅ビルや郊外SCにまで広がってしまうから、わざわざこの街に来る魅力ではなくなった。

3)少子高齢化と若者のファッション離れ?で魅力ある新手ショップが限られるようになった。それには裏通りまで賃料の高騰が波及したことも影響しているに違いない。

4)新ブランドの多くはキャリアOL狙いでルミネやアトレをスタートアップの起点とするからストリートな街は不要だし、ストリートな若者を狙う新ブランドは極めて限られる。

5)新手ブランドの多くがEC軸のD2Cを志向し、メジャーな商業施設もポップアップ受け入れに積極的になり、初期投資が大きく賃料負担も嵩む常設店舗を必要としなくなった。

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 というわけで、すべての元凶は少子高齢化に伴う実体経済と若者ファッション文化の停滞、そんな日本を無理やり成長させようとする過剰流動性政策と一億総労働力化政策(女性と老人の動員)というアベノミクス、それがもたらす不動産価値(賃料)と消費(売上)のギャップ、核家族的家事分担の崩壊による店舗購入の衰退とECやレンタルへの移行・・・・・という風桶論になってしまう。

 理屈はともかく、青春期から半世紀も関わってきたこの街が活力も親しみもない“他人顔の街”になっていくのは寂しい。その中で、竹下通りは曲がりなりにも恐いほど活気を保っているし、キャットストリートや九重通りの一角にはリユース店(古着屋)が集積して新たな広域集客の核となりつつある。

 この街に活気をもたらすのはメジャーブランドや外資SPAではなく、新手D2Cブランドのポップアップストアや期間限定店、ディープフォーカスなリユース店なのかも知れない。

 

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