北村 禎宏

2020 24 Apr

オンライン帰省と言われても…

 官僚と政治家のドタバタはもう見飽きたし聞き飽きた。大量のB品まで発生させるオチがついた二枚のマスク、炎上したSNS動画、続いては「オンライン帰省」だと。

 朝日の素粒子に“「オンライン帰省」と言われてもね。実家に端末なし。…”とある。およそ80歳前後を超える世帯にWi-Fiや端末が備えられているとは考えにくい。70歳前後より下のジジババは、孫とLINEでつながっている可能性は結構高いのではないか。ならば帰省に限ることなく日常的にオンラインで相互作用できている。

 一部の典型的な実家像を想定すればオンライン帰省という概念もあてはまるかもしれないが、それに一分の現実味もない実家を抱えている人々には、大きな勘違いに基づく単なる受け狙いと映る。それどころか、耳障りな雑音として邪魔なだけであろう。

 社会も個人も初めての経験ばかりで試行錯誤や場当たり的対応が横行することは致し方のないところだ。と、百歩譲っても本末転倒のご機嫌取りだけはいい加減にしてほしい。多くの国民が自宅で耐え忍ぶしかできない現状で、なたを振るうことができる立場の人々はなたと振るいどころを見誤らないでもらいたいものだ。