北村 禎宏

2019 04 Mar

洋服税

 さすが基本的人権発祥の国イギリスだ。考えも行動もある意味で前を走っている。仕事の傍ら、後ろのNHKニュースが耳に入っただけなんので不正確なところもあるかもしれないが、およそ以下の通りだ。

 洋服メーカーに対して、一枚につき1ペニーの課税を行うことで、ムダな洋服がマーケットに氾濫することを抑制すると。ならば1ペニーと言わず最低10ペンスでも、1ポンドでもいいのではとも思った。

 洋服の定義と範囲、サプライチェーンのどの段階で誰が担税するのかなど詳細は不明だが、面白い!わが国ではこうしてはどうだろうか。

 金額はズバリ百円。洋服とは体および腕もしくは下肢の一部もしくは全部を被服として覆うもの全て。従って、手袋や靴下やネックウォーマーなどは除外される。ランファンをどう扱うかは議論する必要がある。消費税のような納税の仕組みにするかどうかも要検討だ。

 およそ30億点が供給されていると言われることから200億ほどの税収になろうか。してその使途はいかに。アパレルのサプライチェーンに携わっている、主に川上の中小規模事業者に対する近代化投資を目的とした貸し付け制度の基金がよかろう。もしくは共済的インフラの原資にすることも考えられる。

 別の考え方もある。毎年大量の売れ残りが発生し、これ以上キャリーできない旧モノがこれも大量に廃棄され続けている実状がある。企業にとっては粗利損、廃棄コストは大きな負担であるが、それに輪をかけて洋服廃棄税を課すのだ。少しでも意味のない発注を抑制することにつながればと思う。

 供給点数を増やすことなく売上や利益を維持するにはどうすればいいか。売上がシュリンクすることを前提にしても企業活動を維持するにはどうすればいいか。
2025年までは浮かれた日々が続くだろうが、2030年~2050年にかけてアパレルに限らず全ての業界で大きな試練が待っている。

 ダモクレスの険をぶら下げている毛髪はあまりにもか細い。生き残る術は海外に打って出るかインバウンドを享受するしかないわけではない。キーワードは、一人あたり、単位時間当たりの豊かさである。