北村 禎宏

2019 03 Aug

ノルマの怪

久しぶりに「ノルマ」という言葉が反復して耳に入ってくる。

 ひも解くと、元はロシア語でシベリアに抑留されていた人々が帰国後に広まった外来語だという。
ゴール、ターゲット、目標など、HRMの世界で近似する概念は数多く存在するが、ノルマには特別のニュアンスがある。。

 80年代のバブル前夜に就活を行った私たちの世代には、ノルマ証券という言葉が共通に通じるはずだ。イケイケの証券業界は、給料もいいけど、仕事は大変そうだけど、どうする?などの会話が飛び交っていた。当の証券会社出身者から現場の実情を聞かされたときには、その壮絶さにお尻が冷たくなった記憶がある。

 MBOなる概念とアプローチが定着して久しいが、人を伸び伸びと成長させるテンションりよりも圧殺しかねないプレッシャーがかかるのがノルマだ。トコロテン式にその圧を被った特に高齢の一般消費者は、エネルギー解放の出口と手段がない。

 オープンかつ拡大再生産可能ななエコシステムなのか、クローズドな閉塞に向かうカタストロフィーシステムなのか。大小を問わず、私たちの社会システムの在り方を問い直す機会にすることができるだろうか。