北村 禎宏

2019 13 Apr

経営品質の劣化とルーキー達

 本年度のルーキー達と、三社一グループで七日間を過ごした。残るは一行二日間だ。それにしても、わが国のそうそうたる企業の経営品質劣化が著しい。スズキ再び、大和ハウスよお前もか!

 免震ゴムにダンパー、複数の自動車メーカー、成長著しかった賃貸不動産屋と相次いで、海を越えて米国においても、ボーイング大丈夫か?と言わせていただきたい。

 いまどきの若者達の共通の傾向は、点を線で繋ぐ力が甚だ乏しいということだ。長文読解力が驚くほど低下しているという衝撃的レポートが発表されたんは二年半ほど前のことだったか。

 構成要素たる点が線になって、さらには面を構成し、その上で立体すなわちストラクチャーを構築することができなければ何も組み立てられない。

 歌を忘れたカナリアではないが、私たち人間が何か大切なことを忘れかけはじめているようで気が気ではない。IT化のパラドクスは10年以上も前に、恩師である加護野先生からインストールされた。それば、IT化が進展しても業務の生産性はむしろ低下しかねないというジレンマとIT化が進むほど人間系および社会系の実力が問われるようになるという教訓を表している。前者はIT業界のほくそ笑みであり、後者はアカデミック教えである。

 時代はITからICTへと変遷し、デジタル時代の申し子達が世に出てきて、企業においてはデジタルインフラの上で全てと言ってもいい業務が日々展開されている。
本来はエージェントとして点同士に媒介役に立脚すべき私たち人間が、その立ち位置を放棄してネットワークとデジタルイクィップメントに全てを委ねてしまった結果こうなってしまったのか。

 AIが知能は担ってくれるが、意識は私たち人間の専売特許であるはずだ。意識を意識することが希釈化した現代において、自意識を意識して鍛錬することを怠らない姿勢と行動が求められている。