北村 禎宏

2020 31 Mar

新年度を迎えるも

 明日から新年度を迎えるが、ほんの二か月ほど前、どれほどの人々がこのような年度始めを予測し得たであろうか。大半の国の指導者も国民も中国での出来事を対岸の火事として眺めていたことは否定できないだろう。

 いまや世界レベルで瀬戸際どころか、際はとっくに超えてしまっていてとどまる兆候すら見えてこない。新生活を迎える社会人や学生だけでなく、すべての国民が見えない未来に怯えながらその日を暮らしている。三つの密を避けるにはストレスを伴う時期ではあるが、ここは全ての人々に我慢が求められている。

 200年あまり発展し続けてきた資本主義が大きな岐路に直面しているとも言える。情報とカネに国境がなくなる分には感染症のリスクとは無縁であるが、ヒトとモノが国境を越えて短時間で自在に行き来することを前提に成立している現在のシステムが感染症の前にはひとたまりもないことが明らかになった。

 スペイン風邪の大流行以来、小規模のパンデミックは局地的に経験したものの世界レベルの本当のパンデミックに直面するのは記憶と記録にない出来事だ。一度立ち止まって根本から社会システムのありようを考え直すことが必要とされている。つかのまの穏やかな隙間を前提にしたシステムはむしろ脆弱だと考えなければならない。

 期限の定めのない状態が私たちにとってどれほどしんどいものか、思い知らされているのだから。