マサ 佐藤

2018 15 Oct

TOKYO BASEの決算書をサラッと読んでみた...。

★TOKYO BASEは今期の売上予想を下方修正

時事ネタは書かないと言いながら、前回に続いて2回連続で書いてみようと思いますm(__)m

 

先日TOKYO BASEの今期第2Qの決算が発表されました。

内容を簡単に纏めると、今期の売上見込みは下方修正。増収減益。既存店昨対は9割割れと厳しい数字が並んでいます。また株価も年高の3分の1以下です。(10月12日現在583円。株主はきっと泣いているだろう。)

詳しい内容は下記をご覧ください。

 

”TOKYO BASEが増収増益。業績を下方修正”

https://www.fashionsnap.com/article/2018-10-12/tokyobase-down/

★つい先日まで、賞賛記事で溢れていたが...。

私はかなり前から、この組織は問題を多く抱えている組織なのでは?疑念を抱いていました。(その理由は今回は触れません)

しかしながら、原価率50%打ち出した(こんな施策は愚策でしかない...。)前後から、ファッションマスコミ・評論家はこぞって賞賛し、まるで無理矢理新しいスターでも産み出したいかのようでありましたが、そのような人は、一体どういう見識でそのようなことを述べたのか?を深く懺悔すべきですし、そのような見識のない人の起用も控えるべきです。因みに経済紙も評価していました。興味のある方は以下クリックしてください。(笑)

 

”TOKYO BASEの株価はまだまだ上昇の余地あり、他社がまねできない強みをもち長期的に成長が続く「今買うべき10倍株」の銘柄発掘方をプロが解説”

https://diamond.jp/articles/-/142965

 

★今回の決算短信をサラッと読んでみての疑問。

今回の決算発表で数字が悪くなっているのは、誰の目で見ても明らかです。

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1635023

また、私が商品やショップがどうこう?言っても、ただの感想になりますので、今回は違う視点で気になった点を以下上げて行きます。

 

① 前期の在庫過多→前期は約5億円の在庫原価が増加(1年で在庫原価が約5億増加)

② CF計算書の売上・仕入債権の増減推移

③ EC売上構成比の減少(約2.4減)

 

この3項目になります。

 

★疑問点から見える組織の問題を考えてみると?

まず①の疑問ですが、”決算書には”前期の秋冬在庫が~”と記載されていますが、前期は例年にない厳冬でした。では何故在庫を多く残したのか?それは単純に売上予測見合った、仕入・在庫コントロールが組織として働いていないことが懸念されます。今期は暖冬が予測される中、しっかりとした対策がとられているのか?甚だ疑問です。しかも、今期のSS商戦は仕入を大きく削減したことが、売上減に大きく影響しています。これは、MDの数字的側面や仕入等の管理面での行き当たりばったり的な姿を連想させます。

(要はMD予算設計・期中の運用・管理等の仕組みがおかしい。)

 

次いで②の疑問。今期の決算短信のCF計算書の綱目。売上・仕入債権の増減の項目の数字が前期同時期と大きく変化していることです。数字的には売上債権が減少。仕入債権が増加した今期の数字は会計的には理想ではありますが、なぜ?今期になり急にこのような数字の出方になったのか?

 

考えられるのは、経理・財務関連の精度の低さです。仕入先・取引先の仕入・支払いに関することをあわてて変えた?ようにも見えます。仮にも、上場している企業がこのように財務体系が行き当たり!だとしたら、経営者に一番の責任があるのは間違いのないことですが、一体番頭である№2の財務担当責任者は今まで何をしていたのか?という疑問が湧きます。名ばかりのCEOとかCFOを名乗る前に、その責任を全うすべきだと感じますし、財務・経理体系の強化を図り、組織としての体幹を整えるべきです。

(事実、月次速報さえ出していないIR情報は、上場企業として稚拙すぎる。)

 

最後に③です。既存店昨対が90%を割る中、ECの売上構成が2.4%下がっているということは?ECの既存店昨対が実店舗のそれよりも大きく下がっていると推測されます。EC優等性と言われていたにも関わらずです。

 

原因は、ZOZO依存のEC施策とEC用低価格ブランドを廃止したとのことですが、このようなことは事前に想定されていたことであろうにも関わらず、何故何の手を打っていないのでしょうか?

この規模で上場しているのであれば、その資金を投資・活用し、売上が上がる!手を打たねばなりません。しかし、この組織は前期より減価償却費が減少しています。会社を大きくすべく上場しているにも関わらず、投資に対して消極的な姿勢はその数字からも読み取れます。(投資に消極的というよりは、具体的な数値目標を掲げた、中長期経営計画がないように思える。)だからこそ、自社EC等のEC強化にも思い切った施策が打てていないのでしょう。

 

であるのなら、外部の優秀な人材を起用し、自社EC等のEC戦略の中長期計画と目標値を掲げそのことを実行すべきではないでしょうか?私が知る限りでも、EC系には優秀な人が多くいます。例えば、

川添隆さん  http://tkzoe.com/profile/

野田大介さん https://twitter.com/KURUZE?lang=ja

深地雅也さん http://style-picks.co.jp/

 

このような方々から知恵を借り、自社ECに投資・強化するのも一つ手です。外部の人材は起用する人を間違えなければ、費用対効果は社内に(元大手出身等の肩書だけの)人材を迎えるより、より大きな効果が得られます。

 

★ファッション・アパレルで経営者を目指す人の見本になってほしい。

TOKYOBASEの谷社長は、組織が大きくなっても”個店経営”を目指す!とのことですが、個店経営を目指す!のであればあるほど組織の仕組み・体系の強化に努めるべきです。

 

MDだけの話でいうと、個店経営は地域等の特性に合わせた品揃え政策ができるというメリットはありますが、裏を返せば商品の品数は無限に増える。取引先も多くなるという、業務の増加とそれに伴う管理面において難しい面が多々出てきます。であるからこそ、ユニクロ以上のMDにおける、管理・予算設計・等を緻密にしなければならないですし、作業等を効率化・標準化しなければ、組織など大きくできないということになります。

 

これは上述した①②の問題を、有能な公認会計士等に依頼し、TOKYO BASEの長所に沿った組織体系・MDの標準モデル・店舗・作業関連の標準化。各部署の目指すべき目標数値の選定等を再構築しなければなりません。それも具体的かつスピードをもって実行しなければならないでしょう。

また、LVMHグループを目指すならば、そのことを研究・学習。その道筋を中長期経営計画を目標数値を明確にした上で、具体的に策定。そして実践すべきでしょう。また、新規事業に拘るより、M&Aが有効だと学ばなければなりません。しかし、そのことは前述した自社の問題を解決しなければ、一切無駄に終わります。

 

最後にTOKYO BASEの谷社長の施策にも良いところはあります。

これまで、個人ノルマを課されながら、達成しても対価としてあまり評価されてこなかった販売員の仕事に対価の制度を設けたことなどはその典型です。

ですが、谷社長には上場したことをゴールとせずに、これからがスタートだという気持ちで継続学習することを忘れず、この今厳しい状況を打破する。先駆者になることを、今後私は期待しています。

なぜならば、多くの人が、この業界の若い人材に希望を与える”光”として期待しているのですから...。

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