マサ 佐藤

2018 11 Oct

この業界のM&Aはもっと推進されるべき!だけど...。

★上野商会が買収された。

今回のブログは滅多に書かない時事ネタについて綴っていきます。

時事ネタに関しましては、友人の南充浩さんのようにはうまくは書けないので、そこのところはご容赦くださいm(__)m

 

先日、この業界で話題になったニュースは、上野商会がTSIホールディングスに買収(M&A)されたという話題でした。ニューズピックス民は極めて好意的な意見が多かったとのことですが、Twitter民は真逆な視点を持つ方が多かったように思います。詳細は下記をクリックしてください。

 

”TSIが上野商会を150億で買収「アヴィレックス」「ビーセカンド」など”

https://www.wwdjapan.com/715812

★M&Aに対する私感。

上野商会の話に行く前に、私なりのアパレル業界におけるM&Aに対する。私感を述べておきます。

 

この業界で実行される”M&A”のイメージは、読者の皆さんにとっては、あまり良い印象ではないでしょう。M&Aの成功例も少ないということと、企業買収という言葉が先行し、「今後(俺たち)社員たちはどうなるんだ!!」「オーナー社長だけが儲けやがって!あの野郎!!」等の負のイメージがつきまといます。

 

しかしながら、私はこの業界ではもっとM&Aは推進されるべきだと感じています。理由としては?

・市場が成熟している中で、新規事業を立ち上げるよりもM&Aがよっぽど効率が良い。

・相乗効果(シナジー)が発揮できれば、双方得をするということ。

・仮に失敗しても、(買われた方の)社員たちが社会保障や福利厚生面で得をすることが多いこと。

・M&Aされたことにより、(買われた方の)社員の新しい可能性が開けること。

等の効果があると推測されることが、私がM&Aがこの業界でもっと推進されるべきと考える理由です。

 

★なぜこの業界のM&Aは失敗が多いのか?

しかしながら、前述したようにこの業界におけるM&Aが失敗が多いのも事実ですし、会計的にのれん減損で会社の収支が悪化するなどのこともこの業界では多くみられる現象です。では何故そのようなことになるのか?私の独断と偏見で以下記していきます。

 

①調査を金融系等に丸投げするから。

②違う視点(MD・現場目線等)での会計的検証をしていないから。

③M&Aする目的が間違っているから。

④肩書だけで起用する(アパレル関係者)専門家を選ぶから。

 

まず、①②から言うと、①は多くの組織に当てはまる筈です。

②に関していいますと、財務会計的なものの見方だけではアパレル企業の会計は、意外に良く見えるケースが多いのが事実です。そして、そのことを鵜呑みにしM&Aすれば、後の多くの困難が待ち受けています。私のようにMD的な視点で財務会計等決算書を読み解くのも一つの手です。

 

しかし、もっと単純な数字も見なければなりません。それは客単価です。売上や損益だけみて、企業の良し悪しを判断すると過ちをおかしてしまいます。売上の数字の実態が客単価依存であれば、それは客数が少ない=ファンが少ない。ということになります。その場合は販売員依存で売上をとっている可能性が高く、ブランドとしての魅力は乏しい。もしくは無形資産などない!ということになります。

しかしながら、妙な正義感を振りかざして”ごり押し的な接客”を禁止すれば、その組織の売上は間違いなく、大きく下がるということです。こうした組織を買う覚悟があるならば、元来そういう組織は優秀な販売員がいるのですから、買うべきと判断すればいいでしょう。

 

③に関して言うと、そもそもの企業を買う目的が間違っているということです。この業界では価格帯の空白ゾーンの組織を買いたがる傾向にあります。それも間違いだとは言いませんが、本来の目的は自分たちの持ち合わせているスキル等で、その買った企業の問題点を改善し、顧客からの信頼を高め、企業価値を向上させることにあります。

しかしながら、前述したように、目先の売上だけで判断し、接客依存の組織を向上させるノウハウがないにもかかわらず、M&Aしてしまっては、後に多大なのれん減損という対価を支払わせられるハメになるでしょう。

また、アパレル小売業は大手であっても個々の組織で、あまりに手段・手法が違うところがあり、自分たちの手段に絶対的な自信をもち、(大手特有の)上から目線で買った会社の改革をしようものなら、大失敗をぶっこきます。

(この業界のM&Aはこの失敗が多い。)

 

④に関して言うと、この業界以外でも同じことが言えるのでしょうが、立派な(中身はない)肩書や過去の実績だけで、選ぶ専門家を判断するということです。

現場等の実務経験が0であるにも関わらず、肩書のみは立派な専門家?と呼ばれる人を起用して失敗する。中身が空っぽの口先だけの専門家を起用し、後に多大な対価が必要になる。多くの組織がこのようなことになってはいないでしょうか?

ファンド等金融系の人は、もっと業界の実情を知り、選ぶべき人物を間違わないようにすべきです。

 

★上野商会の行く末は?

ここで話は戻り、記事によるとTSIの上野商会の買収金額は150億円ともいわれています。

この額は、一般的な中小企業の買収基準の一つである、純資産+営業利益3~5年分(記事によると上野商会の営業利益は10億弱)+αを考えると、私は高いような気がしてなりません。

 

おそらく、上野商会が運営するブランド・ショップ等のもつ、のれん代を無形資産を高く評価した。ということになるのでしょう。

しかしながら、今回のM&Aが、前述した部分に当てはまるようであれば、そのM&Aは成功とはいえないものとなり、後に多額ののれん減損が待ち受けているやもしれません。

だからこそ、今回のM&Aが今後の業界のために、うまくいくことを切に願い。今回のブログを終了します。

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