マサ 佐藤

2018 24 Aug

継続品の管理は難しい?

★私は定番品という概念が好きではない。

アパレル・服飾雑貨の小売業では”定番品”なる概念があります。

例えば、リーバイス501等も定番品に入るでしょうか?セールすることのできない商品。靴で言えばオールデン。ダウンで言えばカナダグース?(実際セールして売っているところもある?)等、時代の変化・トレンドに流されず長く着られるものを定番品と呼んでいることが、私には多いように感じられます。

 

中には、シーズンコード等で定番品なるシーズンコードを設定している組織もこの業界では多数存在します。

しかしながら、私はこの業界でいう、”定番品”という概念が個人の嗜好としては好きですが、ファッションビジネスに関する脳で考えるとこのことはあまり好きではありません。

何故ならば、定番品であるかどうかを決めるのは、ブランドやショップ等、卸・小売り側ではなく、買い手である”お客様”であると考えているからです。

★定番品コードなどは本末転倒?

私はとくに、定番品のコードを決める。設定することなどは本末転倒であると考えています。

何故ならば、卸・小売り等の売る側が決めた”定番品”など、定義するのも難しいですし、在庫が滞留する要因にしかならないと考えているからです。

 

例えば、この時期セレクトショップに足を運ぶと、こんなにくそ暑いにも関わらずカナダグースが陳列されています。(8月上旬から陳列されている。)

これは納期が8月上旬であったのか?と推測すると、一部はそうかもしれませんが、おそらく昨年の売れ残りを要は陳列しているということでしょう。これは、定番品というコードの使用。そして予算枠から仕入したため、在庫が思ったよりも残っていたと推測されます。

 

要は自分たちの側・思いこみで決めた定番品という概念。そしてそのことに絡めて定番品コードを使用したため、販売期間の設定が曖昧。そして楽観的観測・”定番品は残っても良いわ!”という慢心からこのような結果になったのでしょう。

しかしながら、そのような在庫が多く残っていると、在庫負担増によるコスト増。利益の低下を招くばかりか?在庫の金額だけみて、仕入を減らし、翌年の売上自体に多大な影響を与え、売上・粗利ダウンで組織が赤字へと転落しかねません。

(上場企業の決算関連資料を追うとそのような組織が多くあると推測される。)

 

★定番品はダメだけど、継続品は?

そもそも、MDの数字管理的言えば、カナダグースなど季節商材です。ですから、季節商材の売上計画を基に仕入をしなければなりません。このような商材に定番品などというコードをつけるべきではないのです。

 

しかしながら、時代の変化・トレンドに流されず、1年中店頭で販売している商品はどうなの?という疑問を感じる方もいらっしゃると思います。個人的には、それでも”継続品”などというコードを使用すべきではないとは思いますが、組織の運営の都合上そうしたコードを設定した方がよい組織もあります。特に、靴や下着等がそのようなケースが増えるのではないのでしょうか?

 

その継続品がメーカー側に在庫が常にあり、常に在庫を補充することができるのであればこのようなことは大したことではありません。しかしながら、発注してから店頭に入荷するのに数か月を要する状況で、”継続品”というコードを設定・使用するのであれば、多くの注意を払わなければなりません。

 

以下私が気づくかぎりの注意点を上げると。

・リードタイム(発注してから店頭入荷までの期間)

・ミニマム(どのくらいする数量を頼まないといけないのか?もしくは原価が下がる数量は?等)

・継続品の定義(同じ形の商品でも色・素材・用途を鑑み、しっかりした定義を作る)

・サイズ展開(売るためには顧客に対してどのくらいのサイズ展開が必要なのか?)

 

他の点もあるとは思いますが、このようなことを考えた上、どのくらいの在庫水準が適正と言えるのかを、数字だけでなく商品・自分たちの顧客を鑑みて決めなければいけません。このことで時点時点の必要仕入の目安というものも見えてくるでしょう。

 

★在庫の金額だけでなく、顧客から見た在庫の質を考えなければならない!

”定番品”や”継続品”などのコード・該当商品を増加させれば、させるほどその組織の在庫金額は膨れ上がる筈です。

結果的に在庫金額の増加は先述したように、組織の利益を押し下げることに繋がりますから、在庫が多く残った年度は、翌年仕入を削減しようとします。そして、そのことの不安を払拭する担保として、”定番品””継続品”が残ったから金額は多くても、翌年の仕入を減らせばいいのだ!という慢心をMD・バイヤー。そして組織が楽観的に考えるようになります。

 

しかしながら、冒頭述べたように”定番品””継続品”を決めるのは顧客であり、顧客の立場から見れば、その”定番品””継続品”は魅力のある商品でなく見放された商品という見方をしなければなりません。そのことによって在庫の質も見極めなければいけません。

今回のこのブログが今一度、自分たちの商品管理における楽観的側面を改善するきっかけになればと願い、今回のブログを〆ます。

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