マサ 佐藤
付加価値=粗利益??
★OFF率の制限があるのは何故か?
この業界。特に百貨店(自主編集売場)やセレクトショップでよく見られる傾向ですが、セール時期に入っても、ある一定のOFF率より上のOFF率が使用できない。しない!等という組織が多々あります。
そもそもこのようなルールは何故あるのか?と言いますと、そのブランドやショップの付加価値を保つ、または顧客からみたイメージを悪くしないためにそのようなルールを設定しているということでしょう。
しかしながら、その組織の商品があまり売れなかったり、(売上に対して)仕入すぎたりすると、当然のことながら在庫が多く余ってしまいます。
ということは?ブランド・ショップイメージを保ちたいがために、OFF率の制限を最初からしているということは?その根拠となる?仕入等のルールが必要となってくる筈です。
★イメージを保ちたいならばルールが必要?
例えば、年間の売上が1億円の組織で、年間のOFF率を20%までに抑えたいのであれば、売上の125%。1億2千5百万円の元売価を仕入れられるという、仕入予算にしなければ、在庫は余っていまいます。
ブランド・ショップイメージを保つために、まずは年間OFFできる金額・率に拘り、上記のような仕入予算設計をすることは、ある意味悪くないことです。
★会計上の付加価値は粗利益。
冒頭にブランド・ショップイメージの付加価値を保つために、OFF率の制限を設けている筈!ということを申しました。だからこそ、過度なセールをし、顧客からみたイメージを損なわないようにするため、このようなルールが設けている組織がこの業界には多くあります。
ここで、話を変えると企業会計上における、付加価値を表現する数字としては”粗利益”と言われています。
粗利益が多ければ多いほど、会計上でみた組織の付加価値は高い。ということです。
ということは?当然のようにOFF率の制限を設けるで付加価値を高めたいのであれば、粗利益を用いその表現をしなければならない。ということです。
上記の組織の例で売上1億円。粗利率60%で、組織の営業利益が出るのであれば、
”粗利率60%(粗利益高6千万円)で(年間の)OFF率20%を設定”
という目標が出来ます。このことで想定される仕入原価率(値入率)の目標設定がなされる。ということになります。
では上記の例で、目標の値入率がどのようになるかと言うと?(売れる分だけ仕入れるということにした場合。)
”粗利益高6千万。売上原価高4千万。必要仕入元売価金額1億2千5百万。
4千万(売上原価=仕入原価と設定)÷1億2千5百万=32%。仕入原価率設定32%。値入率設定68%”
ということになります。
(*但し、このことにプラス。残る在庫をどうするか?残してもよい在庫金額の根拠を同時に考えることも必要。)
このように、売上・粗利を用いれば、自分たちのブランド・ショップのイメージを保ちたいがために作った(年間)20%のOFF率に抑えるというルール設定は、根拠をもって示されることになります。
言い換えれば、根拠もなくOFF率の設定だけで、仕入の金額を決めても、そのことで組織の付加価値としての粗利高が低く、組織の営業利益が赤字になれば、そのOFF率の設定等というブランド・ショップの付加価値を保つ数字設定の意味などまるでないということになります。
★付加価値を表現するには”粗利”が不可欠
企業会計上における”粗利益”は先述した通り、”付加価値”を表現する数字です。だからこそ、ブランド・ショップイメージを保ちたい。付加価値を保つたいのであれば、必ず”粗利益”の数字表現をしなければなりません。
このことを無視し、自分たちのブランド・ショップの勝手な妄想だけで、顧客からみた付加価値を表現するなどということは不可能なのです。
だからこそ、目先の手法やイメージ。商品だけからみた勝手な思い込みだけで、顧客からみた付加価値を判断するのではなく、MDにおける数字の基本を知り、自分たちのブランド・ショップの”付加価値”を数字としてきちんと表現する。このことを組織で共有。または教育することが、”ざる勘定”と呼ばれるこの業界の悪習から脱するきっかけになるのではないでしょうか?
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