マサ 佐藤

2018 26 Jun

季節コードを増やせば在庫も増える?

★アパレル小売業の組織には必ずシーズンコードが存在する。

アパレル小売業の組織であれば、商品に必ずシーズンコードが存在する筈です。

簡単に言えば、春・夏・秋・冬の4シーズン。もっと細かくすれば梅春・晩夏・初秋等いくらでも増やすことが可能です。

また、袖の長さ等のデザイン。素材等もシーズンコードというよりも分析コードとして含ませておけば、様々な分析が可能になるだろうと思われます。

 

では、なぜシーズンコードが必要なのか?その目的とは?ということを考えると?

適切な販売期間。販売終了日を設定・表現するものとして、また商品発注において必要な適時・適量を誤らないためではないでしょうか?

★シーズンコードを増やせば、あたかも発注の精度が高まるように感じるが...。

しかしながら、現状この業界では供給過多の状態に陥っているとよく言われます。テクノロジー・システムが進化しても、商品の供給過多はむしろ反比例して増加しているかのように見えます。

 

例えば、シーズンコードを増やせばあたかも商品の分析精度が高まり、MDの精度が高まるかのように言われます。事実、シーズン区分を増やし、商品追加の精度が高まり業績が上がった!!なんて記事も見かけたりします。しかし本当にそうなのでしょうか??

 

シーズン区分を例えば販売期間で表すとすると?8区分にした場合は、

365÷8≒46日

上記の平均販売期間になります。となると?自社生産商品の場合?その殆どが海外生産でLT(リードタイム)60日以上かかると言われる状況の中で、商品を追加発注したとしても、どんなに早いジャッジでも、追加商品が上がってきたときはその商品の販売期間は終了していて間に合わないということになります。

こんなこと鬼QRでも確立してなければ不可能だということです。

(そのことで海外生産にQRを求めても、トラブルが増えるばかりでロクなことがない。)

 

おそらく、このようなことを言っている組織は、すべての商品が46日の販売期間ではないでしょうから、商品によっては商品追加することもあるのでしょう。しかしながら、シーズン区分を販売期間とリンクさせるとシーズン区分を増やすこととと、商品追加の精度が高まる。ということは何の因果関係もないということになります。

(*分析コードの管理・運用を正しくした上で、過去分析データをうまく活用できれば、追加商品の発注精度が高める可能性はあるが...。)

 

★シーズンコードを増やすと在庫過多に陥る??

シーズンコードは基本商品の販売期間や販売終了日とリンクさせるべきものです。当然、シーズンコードを増やせば上記のように販売期間は短くなります。また、販売期間を短くするということは、期での投入商品アイテム数が増えるということです。

 

商品アイテム数が増えれば、商品1アイテム辺りの数量が減るということですから、売れるものはすぐになくなります。しかもLTが長ければ追加商品なんて間に合わない上に機会ロスが増えます。また、売れないものは薄く広く残る。そして、旬を過ぎた?追加商品が入荷し、更に在庫増える。このようなことになります。

 

また、シーズンコードを販売期間や販売終了日とリンクさせていない組織も多くありますが、人の性として、シーズンコードを増やせば、必ず投入商品アイテム数は増加します。寧ろ、上記のような組織よりも多く在庫を残す結果となるのは必然です。

 

★出来ないことを真似しても、顧客は振り向かない。

この業界は、マスコミ等で出た記事を鵜呑みにしすぐ真似をする。という傾向にあります。しかしながら、この業界の多くの組織が中小規模であるにも関わらず、目先の記事やテクノロジー・システムの進化に踊らされ、本質を掴まずにこのようなことを真似してもうまく行くはずがありません。

 

システム論やテクノロジーの進化。目先だけのロジックに溺れる前に、まずは一度自分たちの組織の長所・短所を踏まえ、顧客目線でできることから新しいものを取り入れていく、そのような姿勢がこの業界には必要なのではないでしょうか。

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