マサ 佐藤
そろそろセールの時期ですが...。
★昔はセールと言えば一大イベントだったが...。
自分がこの業界に入った時、セールは1大イベントだった。セール初日はどこの商業施設・ファッションビル・店頭へ行っても長蛇の列が出来ていたし、実際当時自分がいた組織のセール初日などは、まるで戦場さながらの様相を呈し、休憩などとる暇もなく、とにかく忙しかったという記憶しかない。
あまりに人がセール初日めがけて人が来るので、当時は敢えてあまり売れていない商品を前面に出しても、商品が思惑通りなくなっていたくらいだ。(今このことを実行すると売上が下がる組織が殆どだろう)
★セールは最早1大イベントではなくなった?
しかし、この10年ほどECの台頭等様々な要因もあり、私が昔経験したようなセールはある1部の組織を除いては、その面影すらなくなっているところが多いのではないだろうか?事実、昨今のこの業界の厳しさや、顧客の需要以上に商品を供給してまう体制→旧態依然のMD体制等の影響もあり、常にセールをしているところも多く、ECに至ってはタイムセール・クーポンの乱発で最早プロパー販売期間など無くなっている。(にも関わらず相変わらずプロパー消化率の向上!!などとわけのわからないことを言っている人も多いが)
★セールというイベントに一体何を期待しているのか??
そのようなことを考えていると先日以下の記事を見つけた。
”百貨店の夏セール「2回実施」で足並みそろう。7月27日に第2弾。”
https://www.wwdjapan.com/634569
こんな記事が出ていた。要は7月~8月の衣料があまり売れない端境期に集客の活性化の策としてもう一つの山を作りたいというのが理由だそうだ。
また、この記事の中でかつてセールの後ろ倒しで物議をかもした伊勢丹三越HDは6月29日からのセールで春物を。7月末のセールで夏物を言うことを決めていると書いている。セールの時期については何とも思わないが、百貨店業界はどこまで顧客の感覚とのズレがあるのだろうと言わざる得ない。
とくに伊勢丹三越が言っていることはズレまくっている。6月末の湿度の高い不快指数が高い時期にいくらセールでも、春物など殆ど顧客は買う気にならない。とくにレディースはカラー等の変化もあり売れる見込みは少ない。かろうじてメンズは秋冬着られる色・素材・デザインであれば買う気になるだろうが。
とは言いつつも在庫を処理したい出店側は、夏物でも在庫を無くしたいものは6月末からのセールで売りたい筈で、百貨店やディベロッパーの指示など守っていては、売上も粗利も多く失うことになり、更にはショップ・ブランドが持つ価値の低下も避けられないだろう。
★商慣習に捉われる前に、もっとシンプルに物事を考えてみては?
10数年前の時代であれば、百貨店業界が行おうとしていることも間違った施策ではないだろう。しかしながら、このご時世。常にセールを余儀なくされる状況にあっては、一々お上の指示伺っていては、出店側はもたない。またディベロッパー・ECプラットホーム側は売上さえ伸びれば、セールしようが粗利を持っていかれることもないので、時に理不尽な要求を出店側にする。
このような状況は誰も得するものではない。
小手先の施策や昔ながらの商慣習に溺れる前に、(とは言いつつも、集客のためのセールイベント等の日日設定は必要だろう。しかしながら、このことで出店側に厳しすぎる縛りをかえるべきではない。)顧客目線で頭をフラットにシンプルにして物事を考えるべきだ。
自分の組織さえ良ければ他の組織はどうなっても構わない!という考えや、目先のメンツに拘り、見栄を張る。等ということは止め、出店側には売れないものは早く見切る。売れるものはセールせずとも売れる期間は売る。といった本来小売り業のあるべき姿に立ち返ってはどうだろうか?
更に当たり前のことだが、ショップ・ブランド側は顧客からみて欲しい商品を供給する努力をしなければならないし、そのことに注力すべきである。
そうなれば、顧客目線で考えないショップや、そもそもの実力のないブランドは自然と淘汰され、顧客にとって必要なショップ・ブランドが残る。という顧客にとっての好ましい状況になる筈ではないだろうか?
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