マサ 佐藤
適正在庫って何??
★最近「適正在庫金額ってどのくらいですか?」という質問を受ける。
最近、このような仕事をしているとよく色んな方々から「〇〇業界の、適正在庫金額ってどのくらいですか??」という質問をよく受けます。
しかし、私の返答しては「答えようがない」としか言えません。
そもそも、適正在庫金額なんてものは、組織が持っている。売り場。売上。仕入の仕組み。販売期間。商品。等様々な影響をうけるのであって、それは同じような品揃えの業態であっても、その組織によって在庫金額の適正?なんてものは相対的に大きく変化する筈です。
「〇〇業界だから、売上の〇〇日分」なんて仮に答えたとしたら、私がその組織をミスリードすることにもなります。
そもそも何故業界?業態の適正在庫金額を知りたがる人が多いのか?私はそのこと自体が疑問に思えてなりません。
★在庫の金額よりも在庫の質を考えた方が良くないか??
例えば、セレクトショップのような業態は、買い付け商品が多く入荷してくる2・8月の末にかなりの在庫金額水準になる筈です。2・8月というのはファッション業界ではそんなに売れる時期ではないですが、このことはセレクトという業態を取っている以上。仕方のないこと言えますし、平均在庫金額も高めの水準でおそらく推移することでしょう。
しかしながら、2・8月の入荷してきた在庫の多くが4月末まで多く在庫として残っていたとすると?(まあ単純に、3・4月に売れていないということになるが。)
そのことが例え5月在庫水準が高くなかったとしても危険な在庫の状態とも言えますし、そのことが尾を引いて、これから売れる夏物の在庫金額が用意できていないとしたら、それこそその組織にとっての危機になりかねません。
今年の5月は上場企業の月次売上を見る限り、どの組織も苦戦していると言えます。3・4月は気温が高く、5月は気温が低く推移していたので、そのことを多くの組織が苦戦の要因としてあげていました。しかしながら、5月末の在庫の質で考えると組織によって、今後の売上に差が出てくるであろうということも推測できます。
例えば、UNIQLOの5月売上は久々に前年実績(既存店昨対)を下回りました。しかしながら、その文言をみてみると「5月は気温が低く夏物があまり動かなかった。」と書かれています。実際に売場を随時チェックしてもそのように感じられます。
しかしながら、他の組織をみてみると、3・4月売れなかった春物が多く積みあがっているようにも見えました。(そのことで5月から大々的にセールをしているところもあるが...。また、売場から商品が急に姿が消えたりもする(笑))これでは、いくら5月末時点の在庫金額が適正に見えても、在庫の質で考えると良いとは言えず、6月以降も更に苦戦するであろうと容易に想像できます。
★精神安定剤を求めるよりも自分たちの現状を一気通貫でみることの方が重要でないか?
適正在庫金額??をよく知りたがる人は、おそらく自分・自分たちの組織にとっての”精神安定剤”を求めているのでしょう。だから、他の似た業態の組織や、たまにメディアに出てくる在庫に関する数字を鵜呑みにし、「自分たちのこうでなければならない!」と考えたがる傾向にあります。
しかしながら、一番重要なのはまずは自分たちの組織の状態を、売上・粗利・仕入・在庫金額と一気通貫で見ることで、自分たちの組織の特徴を知ることの方が重要です。また、時点での在庫金額の中の商品の質を知ることの方がもっと重要です。
更に言えば、予算設計の段階で自分たちの組織の在庫金額のストーリーをしっかりと組み立て。どの時点でどのくらいの在庫金額を持ち、その在庫がどのような商品で占められているかを事前シミュレーションすることの方が、安易に適正在庫金額を知りたがるよりもよっぽど重要なことなのです。
皆さんの組織の適正在庫金額??なるものは、自分たち自身で考えるべきことなのであって、また同時に時点での在庫の質も自分たち自身で組み立て、実践すべきものでしかないのです。それを行おうともせず安易に適正在庫金額という精神安定剤を求めても、そのような精神安定剤はこの世には存在しません。
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