千金楽 健司

2020 12 Mar

コロナ騒動の中で②~「消費」の意味が変わった~

ここ数年ずっと言い続けていますが、いまやファッションは「オタクの1ジャンル=マニアだけのもの」になりました。支出におけるファッション分野の優先度はどんどん低下しています。ファッション消費の潮目は明らかに変化しているのです。

この冬、何回ダウンのコートを着ましたか?
去年は初夏からずっと暑かった(暖かかった)ような印象があります。異常気象が続く中、従来の「春夏秋冬」の商品をプロパーで販売し、その後セールをするという商売のやり方は通用しなくなりました。52週MDはもはや形骸化していると思うことも多々あります。

ミニマリスト、Z世代、エシカル、サステナブル、リサイクル&リユースの二次流通。現在の成熟した社会の消費者たちは、意識が高い・賢い消費者です。本当に自分に必要なもの・自分が納得できるものは購入しますが、そうではないものを無理に求めようとはしません。単に流行っているから、安いから物を買う時代ではなくなっているのです。

画像)2019年11月 ロンドンファッションウィークで行われた抗議行動の様子

気候・天候という外的環境の変化。
そして、ファッションに限らず「消費」に対する人々の考え方の変化。

一消費者として自分自身の行動を振り返ってみれば明確だと思いますが、20年前、いや10年前と今では「消費」の意味が大きく変化しているのです。
今回のコロナウイルスに引導を渡されるかたちで、戦後最大級の小売不況がやってくるであろうことは間違いありません。一年後にはリーマンショックを超える世界金融恐慌もやってくると思います。残念ですが、「消費」の意味そのものが変わってしまった以上、騒動の反動によって売り上げが大きく増える(買い控えの反動)ということは起こりません。もしかしたら、他の業界で「今回の騒動を教訓にした消費」は一時的に増えるかもしれませんが、ファッションはその対象ではないということを我々自身がしっかりと認識するべきです。

今の騒動以上に厳しい状況がやってきます。
これまで通りが通じなくなったときに、何をすべきか・何ができるのか、改めて真剣に考え取り組んでいかなければ未来はありません。個人的には「DX」と「海外進出」がそのカギを握ってると考えています。

最後に…仕事とは直接関係ありませんが、今回の騒動をうけて、頼れる政府・国の重要性を痛感しました。いまの日本には、旧来の制度・システムを一度壊して作り直すことのできる政党・政治家が不可欠です。だからこそ本気で思うのです。万が一、次の国政選挙で投票率が上がらなかったとしたら…日本はもう終わりかもしれないと。