千金楽 健司

2020 11 Mar

コロナ騒動の中で①~終息後について真剣に考えよう~

東日本大震災から9年が経ちました。被災されたみなさま、大切な人を失ったみなさま、そして現在もなお避難生活を余儀なくされているみなさまに心からお見舞い申し上げます。

未曾有の災害が起こった2011年の春。どうしたらいいか右往左往し、デマに踊らされ、パニックに陥って思考停止してしまった多くの人々。いまのコロナ騒動の中で、改めてあの時のことを思い出しています。毎年のように自然災害に襲われ、世界有数の地震大国でもあるこの国に暮らす我々のDNAには、残念ながら「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という特性が備わってしまっているのかもしれません。3.11の後の自粛ムード、消費自体の低迷…それ以外にもこの9年間に何度も繰り返された苦しい状況を忘れてしまってはいないでしょうか。

自粛要請が延長され、世界中で感染者が増え続けている新型コロナウイルス。いまだ先行きは不透明で、パンデミックになるのも時間の問題だと思います。そんなコロナ騒動の中で、経営者・リーダーは何をするべきなのか改めて考えてみました。

まず第一に、目の前の「コロナ対策=感染を広げない・封じ込めるに集中する」のは当然です。当社では2月から時差出勤と在宅勤務に切り替えました。いまはほとんどのスタッフが自宅で勤務をしてくれています。もちろん、職種・業種によって「できること」に差があるのは当然ですが、まずできることをやってみる&やるという意思決定をするのが非常に重要だと思っています。「前例がないから」「ルールが整っていないから」という理屈で「何もやらない」のは、自らが無能だと言っていることに他なりません。リーダーたちがコロナ対策のために何ができるかを真剣に考え、スピード感をもってそれに対応していかなければ、組織は思考停止してしまい、いずれ崩壊してしまうでしょう。
今回の騒動にあたり、SARSやMERSの教訓があるシンガポールは見事なリーダーシップを発揮しました。

・4月までの休校措置
・コロナに対応する職員への臨時賞与(一か月分)
・政治家の給与一か月分と政府上級職の給与半月分カット

等を発表し、沈静化につとめています(数段階にわかれた危機対応システムができており、有事の際には慌てず騒がず、それを淡々と実行する仕組みが確立しているとのこと。たまたま騒動の最中にシンガポールに入っていましたが、国を挙げての対策は「さすが!」というしかないレベルでした)。


画像:Heng 副首相のFBより

コロナをきっかけに「働き方改革」が進んだという声もありますが、ぜひこれをきっかけに「旧態依然・決断できない(決断が遅い)」日本型システムそのものの見直しをするべきです。今回、政府も企業も自治体も…日本国内におけるほとんどの組織は、皆場当たり的な対応しかできませんでした。シンガポールや台湾の取り組みをみて、歯がゆい思いをした方も多いのではないでしょうか。有事に備え、事前に仕組み=システムを整えておくことは、どんな組織においても重要かつ不可欠なのです。

次に、騒動の渦中だからこそすべきことがあります。それは「コロナ終息後」のことを真剣に考えるということです。詳しくは別の記事にも書きますが、騒動が終息したとしても状況は元には戻りません(買い控えからの振り戻しもほぼないと考えています)。今回の騒動が決定打となり、戦後最大の小売不況がやってくると覚悟しておいたほうがいいです。つまり、自分たちの事業そしてビジョンを根本的に見直さなければ未来はないということです。

3.11の後もそうでしたが、より一層、デジタルの重要性は高まっていきます。消費を含め、人々の全行動のベースにデジタルがある・デジタルが紐づいていると考えてください。店舗がダメだからECという簡単な話ではないのです。販売の現場だけではなく、すべての現場においてデジタルトランスフォーメーション(DX)に本気で取り組んでいかなければ、企業は生き残ることができません。

また、新たな市場の開拓も急務となります。縮小し続ける日本市場だけをターゲットにしていても、成長・発展することができない時代がはじまっています。日本+ASEAN、+アジアへと自分で市場を広げて行かなければ、すぐに限界がきてしまうでしょう(すでに限界にきているジャンルもあるのでは?)。

今回の騒動はまだまだ収まりそうもありません。だからこそ

・コロナ対策に全力で取り組む
・(今回を教訓にした)有事対応の仕組み、システムを作る
・終息後のビジョンを真剣に考える

この3つを肝に銘じておかねばと痛感するのです。