千金楽 健司

2020 21 Feb

「Amazon一人勝ち」時代のしたたかな戦略

全米49州で約1,100店舗を展開している米百貨店のKOHL'S(コールズ)
店舗を持つ小売…特に百貨店の苦戦が続く中、コールズは今年のNRFで「ビジョナリー賞」を獲得しました。このニュースは、今日の繊研新聞に掲載されていた尾原先生のNRFレポートでも紹介されていたのでご存知の方も多いのではないでしょうか。

今回の受賞理由は、同社が2018年10月から実験的に始めた「Amazonで買った商品の無料返品サービス」を2019年7月から全店に導入したこと。調べてみると店内にAmazon返品用のカウンターがあり、スムーズに返品ができるようです。

▼ Kohl’s Stores Now Accepting Amazon Returns
 

返品が当たり前のアメリカ小売り業界において「返品作業がスムーズにできること」は我々が思う以上に重要なのです(ノードストロームの無人返品BOXしかり)。「Amazon一人勝ち」という現実を逆手にとり、Amazonと「戦う」のではなく

アマゾンで購入した商品を袋詰めもない裸状態で持ち込んでも返品手続きをする、という顧客には超便利なアイデア(中略)アマゾンはウェブサイトに「返品はコールズから」のボタンを設置(2月21日 繊研紙面より抜粋)

これにより「集客拡大」とくに「若年層獲得」に大きく貢献したというのですから「さすが」としか言えません。

ノードストロームとコールズ、戦略は全く異なりますが、顧客のことを真剣に考え、時代の変化にしっかりと対応していける百貨店だけが「これから」も生き残っていくことができるのだと痛感しました。