児玉 千恵子

2019 01 May

着手が面白い楽しい服なら、まだ売れる・・・小粋な女のロックンローラー人生

 「令和」元年の記念すべき五月。
 皐月という呼び名が、新緑の季節のまばゆい光と相まって、風がいつも以上にかぐわしい。
 庭に目をやると、二前年に頂いた紫陽花(名称・ごきげんよう)が、低い位置で葉っぱをつけてきた。
 澄んだ空を見上げると、小さめの青梅が点在し、色鮮やかな「やまぶき」の花々が勢いを増していた。
 大好きな「スズラン」は、珍しい雑草に陣地を占有されていた。
 そんなある日、潮騒が恋しくなって、田尻町(人口約2720 / 1130世帯)へ車を飛ばした。
(C) DOMINANT LIMITED あんずの花 そちらは福山市の南部で、瀬戸内海沿岸に面した市中心部と鞆の浦との中間に位置する、南北約3キロ、 東西1.5キロ 面積4.7平方キロメートルの地域。
 冷たい小雨がパラつく中、ひたすら海岸沿いを走ると、1ヶ月前の「あんずまつり」の賑わいが、 遠いコトのように感じるほど静かで、潮騒が耳に届いて海岸を洗っていた。
 5キロ先は鞆の浦(昨年の5月24日に、常夜灯などの港湾施設が残る一帯が、文化庁より日本遺産に認定された)だから、 「あんず(杏)の里・・・田尻」にも観光客が増えそうだ。
 日本流行色協会が令和の「慶祝カラー」として、「」「」「」を発表したが、あんずの花の色も、桜の花(形も)に 似ていて美しい。・・・(本文冒頭より)・・・ 「ストアーズレポート」2019年5月 児玉千恵子書き下ろし連載第167回「商いの実学・遊学・雑学」は、 「黄緑から青緑へのかぐわしい風がもたらす商い」!

 記念すべき時代の変遷を好機として、ユーザーの心に残る催事やアトラクションその他が、業種・業態を超えて積極的に動き出した。

◇ 閃きの伝言板(皐月・橘月 / 水無月・小暑)
 春には、商空間やメディアの各種で、昭和・平成を振り返る、なつかしい催事や特番が盛んだった。
 4月からスタートのNHKの朝ドラ『なつぞら』には、同じ番組枠で、主役や名場面を見せてくれた、かつての、 なつかしい俳優たちを起用して注目されている。
 また、「令和」という文字関連の便乗商法も、様々なアイデア合戦としてエスカレート中。
 さて、5~6月に活かしたい行事・記念日・モチベーションは?

◇ 商未来へと繋げる体感・体験
 福山市に、今年で創業90年を迎える老舗の「御菓子所」(有)勉強堂(会長・門田一治氏/福山物産協会会長)という企業がある。
 春先に、門田会長の企業理念とポリシーに出会い、深く共鳴した。・・・(中略)・・・ 沢山のモノが溢れかえっている昨今でも、 ユーザーが体感・体験した「モノやコト」は、子供たちが成長しても、商未来へと繫がっていこう・・・。

◇ 感動を呼ぶモノ・コト
 活字離れが取り沙汰されている時代(昨今)に、故・樹木希林さんの言葉を集めた本が、大ヒットしている!・・・今までにも、 天に召された大女優や著名な女史で、大反響を呼んだり、尊敬すべき方は沢山おられたが、彼女の場合、女優としても母親としても、 たじろがない肝のすわった小粋な女のロックンローラー人生だった。
 同じ時代を過ごしてきたせいで、好きな女優の一人だったが、彼女が近くにいたら、私も今とは別の人生を歩んでいたかもしれない(?)・・・(中略)・・・ビートルズの日本公演で前座を務めた夫・内田裕也さんの 「ミリタリールック」の影響か、お二人の結婚式の衣装は、ブルーデニムのパッチワーク仕様のセットアップだった。
 新婦は、スリムなジャケットに、6枚はぎのロング丈のフレアースカートで、新郎は同じデザインジャケットに、 太ももに「はぎ」を施した、ピタピタのパンタロン。・・・既製の概念にとらわれない、時代の先をリードしていた装いだった。
 昨今の市場にも、こういったデザインの服があれば、年代に関係なく購入したい方は多いだろう。
 また彼女は、「着もの」をリフォーム(自ら作る、または服屋さんに注文)して着こなす術に長けていた。
 情報過多の昨今は、色や素材、デザインとシルエットが、同質化に陥りやすい傾向がある。
 衣料の残在庫については、業界全体の課題となっているが、着手が面白い・楽しい服なら(TPOをふまえた上で)まだ売れる・・・。

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