上野 君子

2019 07 Oct

風土というものに触れる体験

初めて沖縄に行った時に、そこに生えている木や植物、家のたたずまい、そしてお墓などが、本州のそれとはかなり違うこと。それ以上に、通りすがりの人々のなんともいえないやさしさが心に残った。その時に購入した飯茶碗は今も愛用している。

 

あれから8年か、離島である宮古島に行く機会が訪れたのだが、今回はもっとコアな体験をすることができた。それは現地の人の案内あってのことだったのは言うまでもない。

それらはいわゆる写真映えするようなものではなく、写真にとってみれば、ただの草むらや普通の海にしか見えないものなのだ。町はある意味では殺風景かもしれない。

空気感のようなものはなかなか写真には残らない。

 

リゾートホテルの人工的な庭は確かにきれいで、見たこともないような南洋の木も植わっているが、街中をはずれると、とにかくサトウキビ畑が続く。

その風景は、まさに森山良子の「さとうきび畑」の歌そのまま。

ざわわ、ざわわ、ざわわ。

これだけあるのだから、黒砂糖もたくさん作られる。

 

新しい発見だったのは、「月桃(げっとう)」というショウガ科の植物。

その葉を粉にしたもの(サンニン粉)は、まるで抹茶のように見えるが、味はややスパイシー(?)。ポリフェノールが豊富だという。お茶にしても、炭酸で割って飲んでもおいしいというもの。

月桃の葉を乾燥させたものは、コースターや鍋敷きなどの小物、人形も作られている。

 

その土地の自然や風土の中で、人々が工夫して生きていること、その長い歴史のほんの一端に触れることは貴重な体験だ。