上野 君子

2020 29 Jun

オンラインで伝わらないもの

いつもテクノロジーに乗り遅れている私も、今回のコロナ禍が背中を押すかたちで、何度かオンラインを体験するようになった。

飲み会はあまりオンラインではやりたくないが、仕事のミーティングには使える。これは慣れである。

だが、家にいながらと便利なようで、その前はそわそわしてしまう。
リアルな場所で対面する場合は、決められた日時と場所があって、そこにいくまでのプロセスみたいなものがあるが、オンラインの場合は準備している時などに、家で髪の毛振り乱している自分の姿がいきなり先方に伝わるのではないかと、何かこわい。

オンラインで伝わらないものは何だろう。
音と映像は伝わるが、におい、味、肌触りまでは伝わらない。
いや、もうそれらも実現可能に研究が進んでいるのかもしれないが。

自慢するわけではないが、私は五感の中でも臭覚に結構敏感な方で、「におい」というものがとても大切なものだと思っている。
以前、パリに出来た香りの博物館のようなところで、自分の臭覚のレベルを測る機械があって、ちょっと試してみたのだが、けっこういい線いっていた(もちろん、調香師の「ネ」といわれる人の比ではないが、当たり前だが)。

人の好き嫌いや相性も、けっこう「におい」が左右すると思っている。
においの嫌いな人は苦手。いや苦手な人のにおいが嫌いなのか。
まあ、どちらか分からないが、「におい」の比重は大きい。
オンラインは、においが伝わらないからいいのかもしれない。