上野 君子

2021 26 Sep

衣服をゴミにはしたくない

遅ればせながら、長年蓄積されている衣服の整理を手掛けた。
私は愛着ある衣服や服飾雑貨を捨てられない人だが、いくらなんでももう少し身軽にしなければと一念発起したのだ。
本当は、ファッション業界関係者やファッション好きの友人の多いFacebookのネットワークを活用し、フリマができたらどんなにいいかと思うのだが、現実はそう簡単にはいかない。コロナ禍であることもあるが、車も運転免許も持たない私にとって、どこのフリマであっても参加するのはハードルが高い。

私は基本的に、服はゴミに出したくないと考えている。以前は、いらなくなった衣服は、教会のバザーや遠い福祉施設に送っていたが、最近はけっこう便利な店やシステムがある。
ブックオフ系列の「モードオフ」は、最寄り駅(往復のバス代が必要)にもあるので、以前から時々利用している。いわゆるブランド物でないと数百円以上はつかないが、安いからと買って失敗したユニクロのカットソーなども10円でひきとってくれる。

今回は新しく、「古着deワクチン」という便利な社会貢献型システムも利用した。
3300円で購入した大きな袋(重さ30キロまで)に詰め放題で、そのまま送ることができる(写真)。
通常の古着屋と違って、扱いアイテムが幅広いのが特長で、例えば手編みのセーターなどのホームメイド物もひきとってくれるのがいい。
地方の施設などに自費で送ると、宅急便送料が段ボール1箱1500円位はかかってしまうので、コストだけ考えてもリーズナブル。しかも世界の子供たちのワクチンや雇用につながるという、よく考えられたシステムとなっている。

一方で、ブランド価値があると思うものは、「RAGTAG」に申し込んだ。
着払いで送ると査定してくれて、その結果をふまえて変更も可能。メールの丁寧なやりとりに安心感がある。
結局、値がついたのはコムデギャルソン関係のみだったが、合計1750円が振り込まれることになった。

それ以外には、SNSでの呼びかけに応じて若い友人・知人が何人か私の持ち物に興味を示してくれたので、個人的に譲渡。押しつけにならないように気を遣うことは必須だが、収益はなくても、こういうつながりは何かうれしいものがあった。

初めから「断捨離」というほどの処分はもうとうする気もなかったが、持ち物の2割ほどは減らすことができたのではないだろうか。衣服やアクセサリーを整理することによって、今の自分の持ち物がどこにしまってあるか確認できたし、以前よりは取り出しやすくなった。ぎゅうぎゅうだった洋服ダンスやクローゼットも風通しがよくなったので、カビの発生も少なくなると思う。

それにしても、物を買う時と売る時は大違い。手放すのは二束三文。不動産でない限り、買った価格以上の値がつくことはこの世にはほとんど存在しない。
要は買わなきゃいいのだ。経済活動に貢献するのは経済力のある方にお任せして、私自身はこれからは(なるべく)物を買わない生活をしたいと思う。できるかどうか…。
新しく服を選ぶ楽しさは夢を見させてくれる。いや、それでも努力しよう。