上野 君子

2019 02 Feb

ジェンダーレスの対応が意味するもの

パリからロンドンに向かうユーロスターの中。車内各席に設置されている雑誌をパラパラと見ていると、このインパクトある写真と共に、小さな記事に目が留まった。

 

靴デザイナー、「フランチェスコ・ルッソ」(パリのパレロワイヤル地区にブティックとアトリエ)が、Xジェンダー向けのカプセルコレクションを始めたという。サイズは3545で、デザインはローファーからハイヒールまで5デザイン。

このデザイナーの持ち味である曲線的でセクシーなハイヒールを、ノンバイナリーモデルが見事にはきこなしている。

 

実は私自身の靴のサイズが41。日本にはモデルサンプル以外は皆無、欧米でも女性物では最大サイズだ。つまり45というのは、いわゆる男性のサイズである。

(ちなみに、私自身はこれまで海外で靴を買ってきた。最近は気軽に購入できるイタリア通販を頻繁に利用している)。

 

日本やアジアは伝統的にサイズ展開が少ないし、相変わらずの状況だ。

靴に限らず、日本のファッション業界は、そもそもこのジェンダーレスへの対応を真剣に進めていないのではないだろうか。

 

ジェンダーレスの対応を図るということは、これまで日本ではなかなか進まなかった多サイズ展開など、これまでのジェンダーの枠組みにはまる人たちに対する不満解消にもつながると思うのだ。

全体からすれば「少数派(マイノリティ)」かもしれない。でも「少数派」に真剣に取り組んでいかなければファッション業界の未来はないといえるのではないだろうか。