上野 君子

2019 16 Dec

木を植え、森をつくる

東京都現代美術館で開催している「ミナペルホネン/皆川明 つづく」展を観に行った。このブランドも来年2020年で25周年を迎えるという。スタートしたばかりの頃、ある生地メーカー(工場)の人から、すごい才能のある人がいるという噂を聞いたのが、その名を知るきっかけだった。

今や、日本を代表するファッションのデザイナーであるだけではなく、インテリアなどライフスタイル全般、ホテルの空間、個人としては挿画作家と、幅広い活動を行っている。

数年前に青山のスパイラルで展覧会を行ったのも記憶に新しいが、多面的により深耕させたかたちで、未来につづくメッセージへと昇華させている。

 

自然界を象徴する漢字一文字であらわした会場構成の中でも、荘厳な迫力があったのは「森:洋服の森」。これまで25年分400着以上ものコレクションが一堂に集められ、天井まで壁いっぱいにかけられている。

シーズンを超えて長年愛される服をという思いが込められているのだが、これは人生、いや時間の蓄積そのものであり、(ここで比べるところではないが)自分の家に捨てられないでたまっている服たちにも思いをはせてしまった。

それにしても、「ミナペルホネン」の魅力の原点であると同時に、ファッション(服)の原点にあるのは、やはりテキスタイル。それは年月によって古びるものではないことを改めて想った。