宮田 理江

2019 02 Dec

ユニクロ「LifeWear」2020春夏コレクション・展示会リポート 伸びやかな着心地、天気・暑さをしのぎやすく

「UNIQLO(ユニクロ)」の2020年春夏コレクションが2019年11月末に発表されました。「LifeWear」の名前にふさわしく、都会での快適な生活を、服を通じて応援するようなアイテムが多彩に企画されています。「コンフォート(着心地のよさ)」を重視する流れを背景に、ストレスフリーの時間を約束してくれそうなウエアがそろいました。

 

◆LIVABLE CITIES(リバブル・シティーズ)/豊かで心地よい暮らしのために

今回は「リバブル・シティーズ/豊かで心地よい暮らしのために」をテーマに選んで、都市空間でのライフスタイルをより快適、豊かにするうえで必要な服を提案しています。夏の猛暑に象徴されるように、生活の前提条件が様変わりする中、「快適さ」は一段と重要さを増してきました。新シーズンのユニクロは、服を通じて人々の暮らしをより豊かにするという「LifeWear」の哲学を、さらに深く掘り下げています。

 

◆THE OUTDOORS/都市と自然をデザインでつなぐ

第1のカテゴリーは「THE OUTDOORS」。アウトドアと聞くと、キャンプや野外イベントで着る服を思い浮かべがちですが、ユニクロの提案は街中で普段から快適に過ごしやすい服です。都市生活とアウトドアをデザインでつなぐアイデアが注ぎ込まれています。シャツとジャケットの長所を併せ持つシャケット系の羽織り物が登場したのも目新しさを感じさせます。

少しの雨や風を防ぎやすいブロックテックパーカや、すぐに乾くドライスウェットパンツは、機能が一段とアップ。持ち運びやすいポケッタブルなUVカットパーカは自転車通勤のお供にぴったり。軽いパデッドパーカは着こなしの選択肢を増やしてくれそう。ロングパーカにはパラシュート用のシャイニーな素材が採用されました。

 

◆WORK&CRAFT/本質への回帰

第2のカテゴリー「WORK&CRAFT」では、オーガニックな素材に注目しています。ワークウェアのカーゴパンツをアレンジしたジョガーパンツは、シーンを選ばない新発想のボトムス。裾を絞った、リラクシングで動きやすいシルエットは、オンとオフをまたいだ自在のスケジュールに誘います。ベージュやカーキ、グリーンなどのカラーリングはナチュラル感を帯びた装いに仕上げてくれます。

天然素材のリネンを使って仕立てた、ゆったりしたシルエットのリネンコットンジャケットは、自然体の着映え。デニムのジャケットやジーンズは、地球環境への負荷をいっそう抑えたサステナブルな工程で仕上げられました。サステナビリティーへの配慮は今やおしゃれの「ドレスコード」ともなりつつあり、納得感の高い装いへのパスポートといえます。

素材に施した丁寧な加工が、質感をさらに引き立てています。洗いざらしの風合いに加え、味わい深いしわ加工、不規則なプリーツ・ギャザーなどがオーガニックな雰囲気を漂わせます。

 

◆ART&DESIGN/創造力を刺激する機能美

機能美を宿したアイテムが集められたのは「ART&DESIGN」のカテゴリー。世界的にミニマルなフォルムが打ち出される中、アートフルなディテールが重要になっています。

ポロシャツのような、割と見慣れたアイテムも、デザインや素材の工夫で新たな印象に。エアリズムジャージーのおかげで、伸びやかな着心地が楽しめます。

シルエットは細長いロング&リーンが軸になっています。ミネラルカラーからインスパイアされたカラーパレットがきれいめな見え具合に導きました。軽い仕立てのトレンチコートはほとんどオールシーズンで着られそう。細身シェイプのテーラードジャケットは、リネンライクな素材で涼しく着られます。

 

◆Uniqlo U

クリストフ・ルメール氏が率いるデザインチームがパリから発信する「Uniqlo U」。ウィメンズは色がフレッシュに一新。メンズライクなシルエットを取り入れ、カーブジーンズはシルエットがよりストレートに。ジャージー素材のワイドパンツは見るからに穿き心地よさげ。コートやワンピースは穏やかなカラートーンが人柄までソフトに見せてくれます。

メンズからはブロックテックのトレンチコートが登場。キューバシャツは陽気で解放的なムード。カジュアル顔のパンツと組み合わせたセットアップは着回しに重宝しそう。ジャケットにドローストリングパンツ、ミリタリーシャツにスウェットパンツといったコーディネートが提案されています。リネンライクなコットン混素材は、マットな風合いが魅力です。

 

◆UNIQLO / INES DE LA FRESSANGE

世界のスタイルアイコン、イネス・ド・ラ・フレサンジュさんとのスペシャルコラボレーション「UNIQLO / INES DE LA FRESSANGE」は、「1924」をテーマに据えました。1924年はパリでオリンピックが開かれた年。女性の五輪参加が正式に認められた大会でもあります。この「1924」という年号は、女性にとって特別と言えるでしょう。

南仏アルル地方のカウボーイの服装から着想を得た、ジャケットやブラックパンツなど、マニッシュなアイテムを用意しました。直線的でリラクシングなワンピースは伸びやかなたたずまいです。

 

◆HANA TAJIMA FOR UNIQLO

文化の多様性を、優美なフォルムと着心地のよさで表現するコレクション「HANA TAJIMA FOR UNIQLO」は、ボディにフレキシブルに寄り添う服です。オーバーサイズのトレンチコートは、ウエストベルトの締め方次第で、きれいなドレープが生まれます。キーカラーは淡いイエロー。植物を思わせる、やさしい色味は柔らかな印象をまとわせています。

 

◆UT

Tシャツブランドの「UT」では、同じニューヨークのポップカルチャーをリードした現代アーティスト、キース・ヘリングとジャン=ミシェル・バスキアの合同展覧会の開催を記念したコレクションが登場。様々なブランドとコラボレーションする「ザ・ブランズ マスターピース」では、デロンギやバンドエイド.などにフィーチャーしています。

ジャパニーズカルチャーをモチーフにしたグラフィックでは、『源氏物語』からインスピレーションを得た「ザ・テイル・オブ・ゲンジ」が誕生。ボストン美術館所蔵の多色刷り木版画をモチーフにした「江戸浮世絵」コレクション日本の歴史的アートを写し込んでいます。

アートディレクターの吉田ユニ氏は「ハローキティTマーケットBYヨシダユニ」でサンリオのキャラクターたちとコラボレーション。「ハローキティ」や「パティ&ジミー」も吉田ユニ流にアレンジされています。

 

◆ANNA SUIとのコラボ  ソフトボヘミアンタッチなウエア

ファッションデザイナーとのコラボでは、ニューヨーク「ANNA SUI(アナ スイ)」とのタッグが実現しました。お得意のソフトボヘミアンタッチは、Tシャツやワンピースに生かされています。

 

◆JEANS

ジーンズはストレッチ性やフィット感に磨きがかかりました。これまで加工工程で大量に使用してきた水の使用を削減することに成功。2020年からは全ブランドのジーンズがサステイナブルな環境で生産されるそうです。

ウィメンズの新作ジーンズとしては、ウエストにベルトの付いたベルテッド プリーツ ジーンズが発売されます。ウエスト位置を高くベルトマークすることによって、レッgツラインがすっきり映ります。ゆったりとした腰回りから裾にかけて細くなっていくスラウチ テーパード アンクルジーンズも新顔。夏でも涼しいハイライズ スーパーワイド ジーンズはウエスト位置が高めで、脚長効果が期待できます。メンズのミラクル エアー 3D ジーンズは立体的な裁断のおかげで、楽な穿き心地です。

◆INNER WEAR

ワイヤレスブラ ビューティライトは心地よさとフィット感を改善しています。肌当たりがやわらかいワイヤレスブラ ビューティソフトは再登場。シームレスVネックはエアリズムに加えて、コットンタイプ、レースタイプが新登場します。コットンブラトップではスクエアネックやローバック、フレンチスリーブなどが新たに用意されました。海やプールにそのまま入れるブラトップは初お目見えとなります。

 

◆UV CUT

UVカットのアイテムでは、UVカット機能をプラスしたドライEXのフルジップパーカとエアリズムのTシャツがメンズに新登場。ウィメンズにはポケッタブルUVカットパーカやライトブロックテックコート、エアリズムUVカットロングカーディガンなど、幅広くUVカットアイテムがそろいました。

 

会場では実証的な展示が目を惹きました。エアリズムのメッシュ素材は、風通しの違いを比較できる実験展示が関心を集めていました。リサイクル関連の展示では、ペットボトル4~5本でTシャツ1枚が作れることを教わりました。

コレクション全体を見渡して感じるのは、リラックス感の高さ。天候への備え、厚さへの対策もさらにバージョンアップ。自然体の気分で過ごしやすいラインアップが厚みを増した新コレクションでした。

UNIQLO
https://www.uniqlo.com/jp/

 

Written By Rie Miyata

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