栗田 亮
「スタイル」って何ですか?
ココ・シャネルの名言に
「ファッション」は消えてゆく、「スタイル」だけが残る。
Fashion fades, only style remains the same
というのがあります。
ココ・シャネル Coco Chanel(1983 – 1971)は、フランス生まれの女性ファッションデザイナー。「シャネル」の創設者です。
子供のころ家族に捨てられ孤児院で育ったという生い立ちから、世界有数のファッションブランドを確立させ、ファッションデザイナーとして唯一、タイム誌の「20世紀の最も影響力のある100人」に選出されている女性です。
ココ・シャネルに関する本は世界中でたくさん出版されていて、今も高い人気を誇っているます。
人生のスタートが貧困だったにもかかわらず、才能と努力で栄光つかんだこと。挫折から復活したこと。仕事にも恋愛にも妥協を許さなかったこと。常に反逆者であったこと。など、彼女の生き方に共感する人が多いからだと思います。
今回は、ココ・シャネルが言う「スタイル」について考えてみましょう。
辞書で「スタイル」を調べると、
1. からだつき。姿。格好。「すらりとしてスタイルがいい」
2. 服飾・頭髪などの型。「最新流行のスタイル」「ヘアスタイル」
3. 建築・美術・音楽などの様式。型。「前衛的スタイルのビル」「演奏スタイル」
4. 文章や文学作品の表現形式。特に、文体。「独自のスタイルをもつ作家」
5. 個人や集団などに固有の、考え方や行動のしかた。「ライフスタイル」
という意味が出てきます。
しかし、これらの意味は、ココ・シャネルの言う「スタイル」とは少し違うようです。
それでは、英語の辞書(Oxford Dictionary)で「style」を調べてみましょう。
style:
1. 何かをするときの特別な手順、方法、手段
2.独特な外見、通常はデザインされた原則により決定される
3.[質量名詞] 流行の上品さ、洗練
1. particular procedure by which something is done; a manner or way.
2 .distinctive appearance, typically determined by the principles according to which something is designed.
3.mass noun Fashionable elegance and sophistication.
などの意味が出てきます。
つまり、「スタイル」の本来の意味は、
1.(意図的な)原則がある
2.その原則に沿った
3,特別な、特徴のある
4.手段、手順、外見、容姿
のことを言うのです。
ふだん私たちが日本語で使っている「スタイル」とはだいぶ意味が違いますね。
「ファッション」と「スタイル」はどこがちがうの?
英語のファッション誌には、この「スタイル」という言葉が頻繁に登場します。また、「ファッション」と「スタイル」はどこが違うの?といった記事もたくさん見つけることができます。
それらの記事が共通しているのは、「ファッション」は今の流行りなので、それを身に着けることで誰でも取り入れることができますが、「スタイル」はごくごくパーソナル(個人的)なものであり、着ている人の中身を問題だ、と言っていることです。
「スタイル」は他人と差別化するもの、他の誰とも違うものであり、その人自身の意見や選択が反映されている。つまり「その人らしさ」を表現しているという説明です。
体型や肌の色、髪の色が違う人が混ざって暮らす国では、自分の外見の特徴をよく心得て上手に表現することが、より求められるのだと思います。
そうした自分のことをよく知っている知性を「スタイル」と呼んでいるのです。
「スタイル」を持った人は「ファッション」を気にしない、という説明もありました。
ファッション誌による「ファッション」と「スタイル」の違いは、こんな風になります。
1.「ファッション」は普遍的なもの、「スタイル」は個人的なもの。
2.「ファッション」はマス(大衆)のもの、「スタイル」はクラス(上流階級)のもの。
3.「ファッション」はフォロワー(追随者)のもの、「スタイル」はリーダー(指導者)のもの。
4.「ファッション」は現代のもの、「スタイル」は永遠のもの
5.「ファッション」はつながりを喚起し、「スタイル」は独自性を喚起する
6.「ファッション」は情報を探し求める人に理解・追随され、「スタイル」は分析する人に追随されるもの。
7.「ファッション」はノーマル、「スタイル」はユニーク。
8.「ファッション」は地形の影響を受け、「スタイル」は国境を超える。
9.「ファッション」は模倣されるもの、「スタイル」は畏怖されるもの。
DIFFERNCE BETWEEN FASHION AND STYLE
1. Fashion is universal, style is individual.
2. Fashion is for masses, style is for classes
3. Fashion is for followers, style is for leaders.
4. Fashion is contemporary, style is eternal.
5. Fashion evokes connectivity, style evokes uniqueness
6. Fashion is understood and followed by information seekers, style is followed by analyst.
7. Fashion is propagated, style is imbibed.
8. Fashion is normal, style is, unique.
9. Fashion follows Geography, style breaks all geographical boundaries..
10. Fashion is copied, style is awed.
ファッション誌でありながら、「ファッション」に流されることなく、自分の「スタイル」お確立しましょう、というメッセージが見てとれるところが面白いですね。
まとめ :「スタイル」って何ですか?
「スタイル」とは、意図的に作られた原則に沿った、特徴のある、外観や容姿のこと。
人間の内面に由来する、きわめて個人的なもの。
流行とは関係なく、その人らしさの表現。
簡単には真似できないもの。
ちなみに、ココ・シャネルのことばに、
かけがえのない者になりたければ、常に人とは違っていなければならない
In order to be irreplaceable one must always be different.
というのもあります。
いかにも自分自身の「スタイル」を貫いたココ・シャネルらしい言葉ですね。彼女が意図的に険しい方の人生を選んで歩んだことがが伝わってきます。
さらに詳しく知りたい人は、ココ・シャネルの名言集を見て下さい。
では、きょうはここまで
(キンコンカン)