久保 雅裕
海外と本気で向き合うなら、プレイタイム東京
2018年2月のプレイタイム東京
この8月、プレイタイム東京が生まれ変わる。
クリエイティブなブランドを集めたプレイタイム・パリは50ブランド程の小規模展からスタートし、今は500ブランドを超える規模にまで拡大。マタニティーやライフスタイルのゾーンも設ける欧州でもピッティ・ビンボと双璧を成すトレードショーへと発展してきた。2009年、本家パリのスタートから遅れること2年後に東京展が始まった。フランス発ということもあり、政府の海外進出支援団体・ビジネスフランス(当時はUBIフランス)やICEX(スペイン貿易庁)など欧州からの団体出展もあり、また世界的なネームバリューのお陰でアジア地域からのバイヤーも訪れる合同展としてインターナショナルな要素のあるキッズのトレードショーとして定着してきた。とは言え、そう簡単に行かないのが日本市場の難しさだ。言語の面を含め、他の多くの国々では障害とならない貿易における非関税障壁が立ちはだかる。国内市場への対応で精一杯のメーカーは、海外バイヤーが来ても相手にできないというジレンマを抱えていた。こうしたコミュニケーションと貿易実務面の弱点を克服しない限り、真にインターナショナルなトレードショーにはなり得なかったというのも、困難さの一因だったといえる。出展者同士が自主的に集まって開く小さな合同展が盛んになってきたという傾向もバイヤーを分散化させている昨今の状況を作り出している。
少子高齢化で縮小する日本市場のみに頼っていては、生き残っていけないとメンズ、レディスの分野では、早々に海外販路開拓の狼煙が上がり、JETRO(日本貿易振興機構)をはじめとした政府機関による助成金の政策もとられ、ある種のブームにもなっている。それから比べるとピッティ・ビンボやプレイタイム・パリ、メゾン・エ・オブジェなどに参加する日本ブランドの数は、すべて合わせても、多い年でせいぜい15ブランドほど。前回のプレイタイム・パリに至ってはわずか5ブランド、その他の独自ショールームと合わせても10に満たない数だ。厳しい言い方になるが「バスに乗り遅れた業界」と言われても仕方がない。
そんな中でプレイタイム東京は、アジアバイヤーが来場するという好条件を生かさない手はないと新たな手を打った。従来の「ベルサール渋谷ガーデン」から「エビス303」へと会場を移す次回は、会場内に海外バイヤーが来場した際の通訳からオーダー対応、輸出サポートまでを行うスタッフ機能を配置し、同時に海外から出展してくるブランドについても、コミュニケーションで困難を抱える国内バイヤーのために、発注から輸入サポートまでを同じスタッフがフォローしてくれるという。こうしたサービスは、単に見本市会社が場所を提供するだけに留まらない、ある意味日本的なサービス機能だと言える。日本市場の持つ独特の難しさには、コミュニケーションやメンタリティーの在り方が海外と大きく違う点が大きいと言える。そこさえケアできれば、大きくビジネスを飛躍させることができるという点を、来日するブランド、バイヤーにも伝えていくことが大切だろう。こうした新機軸を打ち出すことで新たなスタイルのトレードショーへと生まれ変わろうとしているプレイタイム東京は、8月21~23日、東京・恵比寿のエビス303で開催される。
2018年1月のプレイタイム・パリ