久保 雅裕
プレイタイムNYで頑張る日本ブランド(ニューヨーク・キッズ19SSレポート2)
8月5~7日にチェルシー地区で開かれた「プレイタイム・ニューヨーク」には、日本から4社5ブランドが出展した。
国内では子供雑貨の輸入卸として知られるブリーズは、日本製のオリジナルソックスブランドで出展した。17年春夏のチルドレンズ・クラブに出展し、その後、17-18年秋冬、18年春夏とプレイタイムNYに出展し、1シーズン休んでの再出展となった。ヘンプ素材中心の「planete(プラネットイー)」(税別小売価格800円)とオーガニックコットンや消臭機能があり、パイル地の「FAR EAST LOCALMADE(ファー・イースト・ローカルメイド)」(1000円)の2ブランドを披露。奈良県で作っているため、大仏や鹿などの写真を貼り出し雰囲気を出しつつ、日本製のクオリティーを強調した。既存の米国取引先は10件ほどだが、今回は新規で西海岸とNY近郊の4件から受注し、20件ほどのコンタクトが取れた。「展示会でただ待っているだけでは出展料との兼ね合いで割に合わないが、まめにコンタクト先をフォローするなど合間での活動が大切」と話してくれた。
パリ展では常連となっているアーチが「ARCH&LINE(アーチ・アンド・ライン)」で初出展を果たした。既に世界中に取引先を持つがポテンシャルのある米国市場での反応をさらに見極めるため、マーケティングのつもりで出したという。既存のニュージャージーに加えて新規で2件受注し、フォローできそうなところが8件ほど得られ、コンタクトは米国の東西海岸とカナダ、メキシコ、オランダ、クウェートなど35件ほど。売れ筋はパリと同じくTシャツやカットソーのワンピース、ライトウェイトのパーカーなどで、コートなどの重衣料はあまり受けないようだ。「米大陸を一つのグループと見がちだが、実は国によっても、また東海岸と西海岸でも好みが違っていることが理解できて、次に向けての政策がはっきりとした」そうだ。また「来場は多くはないが、ほとんどがバイヤーで確度が高い」とも感じたそうだ。
パリではショールームで営業するノーザンスカイの「EAST END HIGHLANDERS(イースト・エンド・ハイランダーズ)」は18年春夏展と2回目の出展。ニュージャージー、NY、西海岸、韓国など既存の1件を含む8件から反応が取れた。このほかメキシコやプエルトリコなどからもコンタクトがあったという。売れ筋は布帛の柄物シャツ(小売価格80ドル)やシャツタイプのコートなど。「合同展にポツンと出展して来場を待つというスタイルより、幾つかの傾向の合うブランドとグルーヴ感を大切にしたイベントやショールームなどで取り組む方が自分たちには合っていると判断し、次は別の方法を考えていく」と話してくれた。
初出展の「KEORA KEORA(ケオラ・ケオラ)」は、猫の顔の籠バッグ(18000円)に反応があったが、価格抵抗感が強かったという。一方でモコモコ素材感のトレーナーは大人サイズに需要があった。成果としてはバーニーズニューヨークとコンタクトが取れ、検査などをクリアして取り組む方向だ。全体として「カワイイ」テーストのディスプレイで打ち出しをすると「価格が安い」というイメージを持たれやすいと感じたそうだ。またインディアンモチーフの籠バッグには米国からの反応が取れず、欧州や南米の来場者には反応が良かったという。「ディストリビューターやエージェントを見つけていく方向で対応したい」としている。
プレイタイムNYフォトブース
やはりパリの国際性に対して、主に米国と米大陸中心の来場という点で、両展とも賑わいに欠けるという感想は否めなかった。しかし、それが市場規模を反映したものなのだろう。世界を相手に売るパリと、米大陸ローカルマーケットを狙うNYのトレードショーの違いが鮮明に分かる3日間だった。
プレイタイムNYで見つけたスペインの子供靴とベルギーの子供服ブランドはオフィシャルサイトで紹介する。
チルドレンズ・クラブ