久保 雅裕
デジタル嫌いは、ぶらぶらしながら見つける
中之条町歴史と民俗の博物館「ミュゼ」
10月1日から「Go To トラベル」キャンペーンの東京対象がはじまり、早速、群馬県の温泉地へとクルマを走らせた。
パリに住んでいた時には、よく週末にドライブに出かけ、「Village etape(立ち寄り村)」の表示を見ては、高速道路を降りて訪ねたことがある。川沿いの美しい景観を眺められるオーベルジュを見つけて、飛び込みで宿泊するなど意外な発見が楽しみの一つでもあった。
今回も田舎の国道を走っていると円形の素敵な建物が気になり、クルマを停めた。中庭を囲んでいくつかのショップとレストランがあり、足湯のコーナーもある、どうやら地元の観光課が運営する施設のようだ。その名は「中之条町ふるさと交流センターつむじ」。地産の食材を活かしたカフェや伝統工芸品、作家の一点物などが揃う雑貨ショップがある。また中央のお祭り広場ではイベントなどが開催されるそうで、ワークショップの開催やアートの展示なども行われるという。また足湯は四万温泉の湯を気軽に楽しめるそうだ。
さらにその奥に行くと明治時代の小学校を利用した中之条町歴史と民俗の博物館「ミュゼ」があった。明治18年(1885年)に吾妻第三小学校として開校し、昭和53年(1978年)、明治初期の洋風学校建築の数少ない建造物として群馬県指定の重要文化財となった建物だ。その建物も見事だったのだが、群馬県内の歴史、民俗資料とともに展示されていたのが、地元出身、鈴木ひでさんのイラストと文章による昭和の暮らしが綴られたポストカードだった。あまりにも魅力的だったので、思わず本を買ってしまった。
さて「犬も歩けば棒に当たる」ではないが、新聞や雑誌をパラパラとめくって見つけるようなネット検索にはない発見の仕方がなんとも心地良い。リアルで実感する価値の尊さを改めて感じた瞬間でもあった。
話は変わるが、先日JOOP(ジャパンオリーブオイルプライズ)の試飲会に参加した。イタリア、スペイン、ポルトガル、トルコ、ギリシャ、レバノン、チュニジア、カリフォルニア、クロアチア、スロベニアの受賞オリーブオイルが並べられ、手で温めてから、ワイン同様、口に空気を含みながらテイスティングする。喉に刺さる刺激が強ければ、それだけ新鮮なオイルだそうだ。寿命は1~2年程度。ワインのように10年とかのビンテージはほとんど存在しない。
デザイン賞は、ギリシャのオリーブオイルが受賞
これも実際にリアルでなければ、味わえず、確かめられず、感じることもできない。事程左様にリアルは、人間にとって欠かせないもの。ニューノーマルの中でも、リアルな取材を続けていきたいものだ。
通りがかりに見つけたワークマンプラスをチェック。横浜にできた「女子」業態と比べると、段ボールが通路にあったり、陳列も分かりづらく、およそファッションと言うには無理があったが、確かに機能性と低価格のバランスの良さには脱帽だ。
これまた道すがら見つけた「太子駅跡」。吾妻線の廃駅で、その歴史が偲ばれる。