久保 雅裕
新年から空の大冒険を体感~映画『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』
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「そもそも高度1万メートルの上空で、生身でいられるのか??」
そう思うのは、筆者だけではないだろう。通常の航空機が飛行するのが高度1万メートルなのだから、当然氷点下50度くらいだし、気圧も酸素も生身の体が普通でいられるはずがないと思うのだが。しかし、『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』は実話に基づく映画なのだ。
1862年のロンドン。「気球で上空の気象を細かく観測することで、天気を予測することが出来る」と唱えて荒唐無稽と馬鹿にされ、実験の資金を集められずにいた気象学者のジェームズは、気球操縦士のアメリアに頼み込み、彼女の気球飛行に同乗することを許される。それはアメリアにとっても、前の飛行で夫を失った悲しみから立ち直るための決意の再飛行だった。美しくも神秘的な雲に魅せられ、突然現れた蝶の群れに驚嘆する二人。だが、前人未到の高度7000メートルを超えた後、想像を絶する自然の脅威が待ち受けていた。というのがストーリー。実話は、女性ではなく男性だったそうだが、そこはエンターテインメント性を持たせるために仕方ない。実際に酸素ボンベ無しで気球に乗って、高度11277mまで上昇したのだが、これは現在でも破られていない記録なのだ。因みにそれまでの高度記録はフランス人の7000メートルだった。
さて、ジェームズの目的は、気象予測を実現すること。その研究のために、大空で目にした一部始終を詳細な記録に残し、人類の歴史の中でも重大な出来事となった。
どこまでも青い空や太陽に輝く雲の美しい光景から、恐るべき嵐と極寒の世界、光輪や蝶の群れなど地上では目にできない神秘的な現象までを体験し、まるで気球に同乗しているかのような臨場感を味わえる体感型アドベンチャー・エンタテインメントとして仕上がった本作『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』は、2020年1月17日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国ロードショー。